おんざまゆげ

@スラッカーの思想

『性の弁証法 —— 女性解放革命の場合』/革命としてのフェミニズム(シュラミス・ファイアストーン Shulamith Firestone)

著者の経歴と本書の内容

 今回紹介する本はシュラミス・ファイアストーン [ Shulamith Firestone ] が著した『性の弁証法』。副題は「女性解放革命の場合」です。ファイアストーンは1945年カナダ・オタワに生まれ、大学では美術の学位を取得。その後、画家としても活動していましたが、急進的な女性解放運動(ラディカル・フェミニズム)の創始者としても活動します。

 原書は1970年刊(翻訳は1972年 林弘子訳)。内容の要約を以下に引いておきます。

 男性と女性の間に本質的な生物学的不平等があるのだろうか?ファイアストーンは、はっきりあると断言している。ファイアストーンは、性の区分そのものが自然界におけるもっとも深い差別であり、そのほかの社会的・文化的な差別の土台となっていると考えている。性の弁証法――歴史を通じての男性と女性の力の相関関係――がカーストのみならずあらゆる階級の発展の基礎となり、さらには文化史の流れを決定しているとファイアストーンは考えている。

 しかしながら、彼女は、性的な不平等は《自然》なことだが、それは常に女性と子供を抑圧してきたと主張する。つまり、《自然》であることは必ずしも《人間的》ではないというのが彼女の思想の出発点となっている。さらにテクノロジーが進歩するにつれて男性と女性の間の差異は、だんだん重要でなくなるだろう。実際、男・女差を文化的に強化してゆくことは結局は、人類の自殺行為となるであろうと著者は警告している。

 だがそれにもかかわらず、性階級制度は、今もなお以前にもまして文化的に維持されている。 〔本書:表紙おり返し部より〕

Firestone, Shulamith『性の弁証法――女性解放革命の場合』より引用

 

性の弁証法―女性解放革命の場合 (1972年)

性の弁証法―女性解放革命の場合 (1972年)

 

 

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