舞台は未来。
主人公は5人の少年少女たち。物語は、彼らが“呪力"と呼ばれる念動力を学ぶ上級学校へと進む12歳の幼少期から始まる。
5人はそこで、人類の血塗られた歴史を知ると共に、命を賭けた壮絶な冒険へと駆り立てられることになる。
やがて14歳という青春時代を迎えた彼らには、より過酷な試練、胸を焦がす衝撃的な出来事が待ち受けている。
そして、26歳の夏。予想だにしなかった未曾有の惨劇が人類を襲い…!?
呪力という神の力を手に入れた人間、人間に劣らぬ知性を持った異種族=バケネズミ、さらには歪んだ進化を遂げた異形の怪物たち。
様々な勢力や思惑が入り乱れる先の読めないストーリーは、主人公たちが12歳、14歳、そして26歳と時を重ねていく姿を描き、3部作という壮大なスケールで展開していく。
(「アマゾン」より)
感想。
第29回SF大賞を受賞した貴志祐介の渾身の長編ベストセラーのアニメ化!(新世界より (小説) - Wikipedia)。
小説は2008年刊行、アニメは2012年10月ON AIR。
「人々が念動力を手にした1000年後の世界を舞台とするサイエンス・ファンタジー作品」です。
舞台になるのは「神栖66町」と呼ばれる集落(田んぼや畑があるような田舎のような環境)。
物語の世界はほぼ「神栖66町」のみに限定されていて、他の集落が出てきたりすることはなく、「世界=神栖66町」といった地理的に狭い空間(狭い人間関係)の構成になっています。
原作は読んでいません。
(原作は1000ページを越える大作だそうです。)
アニメは全25話。
僕としては尺が長かった…
とにかく無駄に長いという印象が拭えない作品でした。
このアニメを観る前に、評価やレビューをネットリサーチしたのですが、「前半はダメだけど後半になれば面白くなる…」ということだったので、忍耐の限りをつくし全25話を観たのでした。
しかし、予想以上につまらない作品で、ちびちびと隙間時間に適当に鑑賞していたら、全部観るのに1年以上かかってしまいました…。
このアニメのテーマ、ざっくり言うと、「バケネズミの人権問題」です。
まあ、人によっては違うのかもしれませんが、僕にとってはそうなんです。
「見た目で判断してはいけない…」という単純な問題(しかし複雑な問題)。
知能は人間並みだけど見た目はネズミのような醜い生き物がいた場合、あなたはどう接しますか?みたいなことです。*1
そして、そういうネズミたちが「私たちにも人権がある」と主張したらどうするか…
何かすごく古典的なテーマなのですが、今更ながらに人間の傲慢さ、原罪のような根源悪を考えさせられる作品でした。 *2
全体的に、「世界の謎」の方に偏りすぎていて、その分、友情とか恋愛のような人間関係の方は希薄になっている感じがしました。 *3
*1:これは「尊厳問題」と言い換えてもいいと思います。尊厳とは常に「人間の尊厳」のことであって、人間ではない動物には極端に冷たい思想になります。アニマルライツの運動家たちが「人間の尊厳」に懐疑的なのはそのためです。
*2:その他のエピソードとしては、好きだった男の子が姿を消してしまい、その男の子の記憶が意図的に消されてしまって「名前」や「顔」が思い出せない…という『君の名は。』的状況設定がありました。しかし、恋愛要素は少ないです。
*3:物語とは全然関係ない話ですが、ドヴォルザークの「家路」を聴くと、「今日も一日が終わった…早く家に帰らねば…」みたいな気持ちになるのはなぜなんでしょう。これって「洗脳」効果のような気がしてなりません。