手と首を斬り落とされた女の死体が発見された。捜査一課の蒲生信昭は、所轄の刑事・和泉龍一と組み、捜査を開始する。だが、被害者の娘、大河内涼を見たとたん、和泉の様子がおかしくなる。和泉を疑い出した蒲生は、彼の過去を調べるが……。
血と暴力に彩られたあらゆる罪悪が襲いかかる狂気のクライム・ノベル。鬼才・小川勝己が描く、救いのない、背徳的な快楽に満ちた世界から、あなたは抜け出せるか――。
(Amazonより)
ぐちょぐちょでグログロ
とても残虐であり異常であり、エグくてグロくて鬼畜!
決して「子ども」にはおすすめしない。
解説を書いているミステリー研究家の霜月蒼さんの言葉を借りればこうなる。
… 小川勝己が嬉々として繰り出す異常行為博覧会。ものスゴいのである。何と言ったらいいか、もうぐちょぐちょでグログロで、最低で鬼畜なのである。…
… 彼らは「他者」を人間とみなしていない。それがわたしたちを恐怖させる。「彼岸=背徳的な快楽」の奴隷たる彼らにとって、「此岸=現実世界」における他者は、快楽を発生させる道具でしかないのだ。だから、「性愛」であり「殺人」であり「恋愛」であり「治安維持活動」のかたちをとってはいても、それは彼らにとって、自閉的な自慰でしかない。…
… コミュニケーションの断絶。これは小川勝己が徹底して描き続けるモチーフでもある。…
… この病理。この恐怖。これこそが、現在の日本でわれわれが抱える漠然とした治安への不安の正体だろう。強力な怨恨で殺されるのと遊び気分で殺されるのと、どちらが怖いか考えてみるといい。不倫相手を殺すOLとホームレスを蹴り殺す中学生と、どちらが怖いか考えてみるといい。答えは自明だろう。つまり、『彼岸の奴隷』は、そうしたすぐれて現代的な病理をポスト・エルロイ/タランティーノ型パルプ・ノワールの内燃機関とした作品なのである。ただの鬼畜なのではない。これは社会派の鬼畜なのだ。
なるほど~。
社会派の鬼畜!
読後に「こんな小説、読むんじゃなかった…」と思いたい人におすすめです。