忘れ去られる「原発問題」
隠される原子力・核の真実―原子力の専門家が原発に反対するわけ
- 作者: 小出裕章
- 出版社/メーカー: 創史社
- 発売日: 2011/01
- メディア: 単行本
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内容は大きく分けて二つ。
ひとつは「原発の危険性と不合理さ」。
次に「エネルギー中毒社会」からの脱却。
結局のところ、危険で不合理で最悪であるはずの「原子力」への依存を生み出してしまったのは、エネルギー浪費型の社会構造やそれに支えられ成り立っている我々のライフスタイルが原因であると著者は指摘する。
そして、以下のように締め括っている。
... 残念ではありますが、人間とは愚かにも欲深い生き物のようです。種としての人類が生き延びることに価値があるかどうか、私にはわかりません。しかし、もし地球の生命環境を私たちの子どもや孫たちに引き渡したいのであれば、その道はただ一つ「知足」しかありません。
一度手に入れてしまった贅沢な生活を棄てるには苦痛が伴う場合もあるでしょう。当然、浪費社会を変えるには長い時間がかかります。...
私たちが日常的に使っているエネルギーが本当に必要なものなのかどうか真剣に考え、一刻でも早くエネルギー浪費型社会を改める作業に取り掛からなければなりません。
再生可能エネルギーの議論が一時期盛り上がった。
しかし、大電力会社が支配する経産省を中心としたエネルギー独占体制は揺るがない。(一部頑張っている企業はあるが)
おそらく私たちのライフスタイルはモラルや「もったいない」精神だけでは変わらないと思う。経済成長という神話は電力浪費型社会と分かちがたく堅固に結びついている。この結びつきを緩めることからはじめるしかない。