障害学の視点から英米圏の倫理学説(ロールズ「正義論」やシンガー「選好功利主義」など)を批判的に検討し、立岩真也や森岡正博、レヴィナスやデリダの「他者」概念などを導入しながら「生を無条件に肯定する倫理」を構想する書。
「障害者の視点」から考えた「正義」とは…
著者は障害者の視点から「正義とは何か」を考える。
… 私たちが考えるべきは、障害者が、障害があることによる<生きづらさ>をもはや抱えなくとも済むような社会、こう言ってよければ、「来たるべき」障害者が何の不自由もなく、<生きづらさ>を抱えることなく生きられる社会こそが「正義」の社会である、ということであり、それが「障害者の視点」から考えた「正義」であると私は主張するのである。
そして、「生を無条件に肯定する倫理」とは、「障害者」という枠を超え、すべての<生きづらさ>を抱える者たちに向けられるべきものである。(「あとがき」より)
非常に難解な本だった。しかし、著者自身の「語りえないもの」が何となく伝わってきて、目指そうとしている「生の無条件の肯定」の思想は、必ず果されなければならないと強く思った。
・詳細な目次 書評などはこちらで読めます。
→http://www.arsvi.com/b2010/1106ny.htm
・野崎泰伸さんの経歴や業績
→http://www.arsvi.com/w/ny01.htm
・こちらの本は読みやすいです。
「共倒れ」社会を超えて: 生の無条件の肯定へ! (筑摩選書)
- 作者: 野崎泰伸
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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