社会に「溜め」をつくるには…
この本の前半部分は、貧困に対する自己責任論への反論が分かりやすく論じられている。
後半部分は、“溜め”のある社会へと移行するにはどうすればいいか、そのために活動する「活動家」(市民)とはいったいどんなものなのか、といったことが論じられ、最後は作家の重松清さんとの対談で締め括っている。
「貧困」を隠していた政府
毎回思うのだが、著者は学者を目指したほどの人なのに、そこにまったく衒いがなく、だれにでも分かりやすいことばで説明しづらいことを説明してくれる。
この人がいなかったら「貧困の可視化」がここまで進行していたかどうか、疑わしいと思う。
ちなみに著者は09年10月に民主党政権の要請により、内閣府へ政策参与として参加。「貧困・困窮者支援チーム」の事務局長を務めている。
民主党政権になってはじめて政府は貧困(相対的貧困)のデータを正式に発表した。
なんと、それ以前の政府は日本には貧困は存在しないとうそぶいていた。やはり、政権交代は必要である。
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