12月の新刊チェックです。
選定ルールは、
・12月頃に出版された本(書店によっては11月末)
・「今すぐに購入したい!」とまではいかないが興味ありがちな20冊精選
社会問題
マンガで読む「不安な個人、立ちすくむ国家」
今年の5月に若手経産官僚が作ったPDF資料が話題になりました。内容を一言でいえば、なぜ日本はダメなのか、を統計や図表によってサクッとまとめたもの。先月、その資料を書籍化したものが出版されましたが、それのマンガ版が本書。
書籍バージョンは「対談」がメインになった本です(対談相手は養老孟司さん、冨山和彦さん、東浩紀さん)。PDF資料の内容が詳しく知りたい方はマンガバージョンがおすすめ。
スノーデンが語る「共謀罪」後の日本 大量監視社会に抗するために
スノーデンが語る「共謀罪」後の日本――大量監視社会に抗するために (岩波ブックレット)
- 作者: 軍司泰史
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2017/12/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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国家安全保障局 NSAの行っていた個人情報大量収集を内部告発したエドワード・スノーデンが日本に向けて警告。ブックレットなので読みやすいと思われます。
スノーデンについては下記の映画と本がおすすめ。
青年市長は“司法の闇”と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開
青年市長は“司法の闇”と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開
- 作者: 郷原信郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/12/08
- メディア: 単行本
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日本最年少の市長がささいな「事件」(収賄容疑)で逮捕・起訴され、一審無罪、二審で逆転有罪、最高裁で棄却されて有罪が確定(市長失職)されてしまった「冤罪事件」。日本の司法がいかに腐っているかがわかります。
詳しく知りたい方は下記の動画が参考になります。
・収賄容疑の藤井浩人美濃加茂市長インタビュー (2014.09.06)
・元検事 郷原信郎氏が美濃加茂市長を起訴した検察を厳しく批判 (2014.09.06)
・市長に賄賂を渡したとする贈賄側の証言は信用できるか (2014.10.04)
・賄賂を渡したと主張する業者社長が出廷 (2014.10.04)
・間接証人の証言は贈賄の証拠になるか (2014.10.18)
・藤井浩人氏・郷原信郎氏:主張すべきことは主張できたと思う・被告人質問を終えて藤井市長が生出演 (2014.10.25)
・藤井美濃加茂市長があらためて金銭の授受を否定 (2014.10.25)
・警察、検察から供述の誘導はあったのか (2014.11.27)
・検察の「引き返せない体質」は変わっていなかった (2014.12.27)
・決定的な証拠がないまま公判が結審 (2014.12.27)
・贈賄側有罪が物語るこの事件の異常性 (2015.01.17)
・郷原信郎氏:何の証拠もない事件でも無罪を勝ち取るのは容易ではなかった (2015.03.14)
・被告人に弁明させずに逆転有罪は極めて不当な判決・美濃加茂市長主任弁護人の郷原信郎弁護士に聞く (2016.12.03)
・美濃加茂市長を失職に追い込んだ最高裁決定の意味 (2017.12.16)
・判例違反の疑いも顧みずに上告を棄却した最高裁決定は不当 藤井前美濃加茂市長の弁護団が強い抗議を表明 (2017.12.26)
障害者が街を歩けば差別に当たる?! 当事者がつくる差別解消ガイドライン
障害者が街を歩けば差別に当たる?!: 当事者がつくる差別解消法ガイドライン
- 作者: DPI日本会議
- 出版社/メーカー: 現代書館
- 発売日: 2017/12/07
- メディア: 単行本
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障害当事者の方が障害者差別解消法について書いています。いったいどこまでが「合理的配慮」になるのか…。法律施行前にもこの手の本が出版されましたが、「バニラ・エア事件」によって法律の浸透度が浅かったことが判明しました。もう一度、勉強したい方や法律について知りたい方はぜひチェックを。
その他には下記のような本もあります。
合理的配慮、差別的取扱いとは何か ―障害者差別解消法・雇用促進法の使い方―
- 作者: DPI日本会議
- 出版社/メーカー: 解放出版社
- 発売日: 2016/03/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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知っていますか?障害者の権利一問一答 (知っていますか?一問一答シリーズ)
- 作者: DPI日本会議
- 出版社/メーカー: 解放出版社
- 発売日: 2016/12/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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癒しのセクシー・トリップ わたしは車イスの私が好き!
長らく絶版中でしたが今回オンデマンド版で復刊。著者は障害者運動などにかかわった方です。自伝的内容。
下記の本もおすすめです。
男の孤独死
著者は医師。「医者が教える、解剖台に乗らないための孤独死回避術」。
孤独死の7割が男性らしいです。
安楽死を遂げるまで
ルポ・取材系の本です。ジャーナリストである著者が、安楽死が法律で認められているスイス、オランダ、ベルギー、スペイン、アメリカに渡り、当事者・家族・医師らにインタビュー。世界最新の安楽死の実態が綿密な取材によって浮かび上がってきます。
税金格差 なぜこの国は「正直者がバカを見る」仕組みなのか?
日本の「税の歴史」がこの1冊で分かる! 特にサラリーマンの方は必見です。富裕層は節税やタックスヘイブンで租税負担を回避し、サラリーマンは源泉徴収できっちり税を取られるという「税の歪み」(税金格差)はなぜ放置されるのか!
生き方・ライフスタイル
やっぱり友だちはいらない。
やっぱり友だちはいらない。 (TOKYO NEWS BOOKS)
- 作者: 押井守
- 出版社/メーカー: 東京ニュース通信社
- 発売日: 2017/12/19
- メディア: 単行本
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2015年に出版された新書に2章を追加した増補版。タイトルのまんま「友達はいらない」という主張を展開している本です。押井守さんは有名な映画監督さんですから友達はいらないのでしょう。
誰も教えてくれなかった子どものいない人生の歩き方
「子どものいない人は3人に一人。到来した新たな大人時代の生き方指南書」「子どものいない女性13名+男性2名の体験談と、脳科学・心理学・母性・不妊・社会学の専門家インタビュー」 。
目次を見た限りでは「結婚/非婚」よりも「子あり/子なし」に注目した本のようです。
この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。
この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。
- 作者: 小林エリコ
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2017/12/07
- メディア: Kindle版
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タイトルだけで興味アリの本です。どのように「再生」したのかが気になります。
カネなし・運なし・色気なし 底辺女子が会社を辞めて幸せになった話。
カネなし・運なし・色気なし 底辺女子が会社を辞めて幸せになった話。
- 作者: フジコ
- 出版社/メーカー: 大和出版
- 発売日: 2017/12/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この人のように自分を「エンタメ化」できたらなぁといつも思います。自分のダメさをネタにして本にするのって「才能」だと思うし相当に「運」があるとも思うのですが。
猫はためらわずにノンと言う
猫から人生を学ぶ、という変わった人生論です。人間と猫のどちらかを選べるなら間違いなく猫を選ぶでしょうね。
出会いと結婚
超学術書です。 このタイトルで5,616円します。第一部が日本の結婚、第二部が世界の結婚について書かれています。読みたい方は最寄りの図書館にリクエストですね。
0円で生きる 小さくても豊かな経済の作り方
1993年刊行『完全自殺マニュアル』で100万部以上のミリオンセラーを記録した鶴見さんの最新刊。近刊に『脱資本主義宣言』がある。生きづらさを回避するために「嫌になったら死ねばいい」という自殺論を主張した鶴見さんだが、真の敵は「資本主義の構造」にあると見ている。「0円生活」もその線上にある提案(資本に対する抵抗)である。
政治
暴君誕生 私たちの民主主義が壊れるまでに起こったことのすべて
暴君誕生――私たちの民主主義が壊れるまでに起こったことのすべて
- 作者: マット・タイービ
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/12/22
- メディア: Kindle版
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ジャーナリストの神保哲生さんが訳したトランプ本。トランプについて述べた本ではなく、トランプという暴君が誕生する背景要因について詳細している。もしかすると、トランプ誕生は歴史の必然だったのかもしれない…。
歴史
インパール作戦従軍記 葦平「従軍手帖」全文翻刻
《『麦と兵隊』の火野葦平が残した20冊余の「従軍手帖」。その中の「インパール作戦編」6冊を完全活字化。》
今年の8月15日に放映された「Nスペ 戦慄の記録インパール」。視聴者の多くは改めてその作戦の酷さにショックを受けました。もっと知りたい方はこういう生々しい資料を読むのもいいかもしれません。
日本のフェミニズム
日本のフェミニズムの歴史を知りたい方向けの本です。 頁数も少なく読みやすい感じでまとまっています。
文化
共食いの博物誌 動物から人間まで
共食いの博物誌??動物から人間まで (ヒストリカル・スタディーズ20)
- 作者: ビル・シャット,藤井美佐子
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 単行本
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「なぜ生物は共食いをするのか?」 とても興味があります。なぜ、私たちは人を食べないのでしょうか。「人を食べてはいけない」というのは「倫理」なのでしょうか。私たちは倫理によって人を食べないのではなく、単なる嫌悪感やタブー(慣習)によって食べないだけのように感じます。
哲学・倫理
生まれてこない方が良かった 存在してしまうことの害悪
- 作者: デイヴィッドベネター,David Benatar,小島和男,田村宜義
- 出版社/メーカー: すずさわ書店
- 発売日: 2017/11/01
- メディア: 単行本
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反出生主義者であるデイヴィッド・ベネターの主著。ひっそりと出版されていました。この本は間違いなく絶版になるオーラが漂っているので、読みたい方は早めに購入した方がよいと思います。
ベネターの主張はずばり「子どもを作り生むことは悪である」というものです。ゆえにすべての人間は子どもを作ってはいけない。子どもができたら中絶することが道徳的義務になり、人類は速やかに絶滅するほうが良い。かなりラディカルな主張です。