12月の新刊(新書・選書・文庫)チェックです。
選定ルールは、
・12月頃に出版された本(書店によっては11月末)
・「今すぐに購入したい!」とまではいかないが興味ありがちな20冊精選。
改憲的護憲論
安倍政権が提案する「憲法9条に自衛隊を明記する」という加憲論。それに反対する護憲論。著者はこのような図式を否定し「改憲的護憲」を主張します。
ジャーナリストである著者が著した下記の類書も参考になります。
日本人と象徴天皇
NHKスペシャルで放映された2本のドキュメンタリーをまとめたもの。
憲政史上初の「天皇陛下退位日」が2019年4月30日に決定され、新元号も来年には決まる予定です。これを機会にもう一度「象徴天皇制」について考えたい方におすすめ。
放映されたNスペの詳細は下記参照。
・戦後70年 ニッポンの肖像 -日本人と象徴天皇-"戦後"はこうして誕生した
・戦後70年 ニッポンの肖像 -日本人と象徴天皇-平和を願い続けて
治安維持法と共謀罪
戦前の治安維持法制定の歴史を振り返りながら共謀罪の危険性を指摘。戦前から戦後にかけての刑法の歴史も知ることができる手堅い一冊。
下記も参考になります。
治安維持法 - なぜ政党政治は「悪法」を生んだか (中公新書)
- 作者: 中澤俊輔
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/06/22
- メディア: 新書
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貧困の戦後史 貧困の「かたち」はどう変わったのか
敗戦・復興・経済成長・一億総中流社会・失われた20年…。それぞれの日本社会に存在した貧困の「かたち」を詳細に描きだした力作。
著者の類書も参考になる。
現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書)
- 作者: 岩田正美
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 新書
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社会的排除―参加の欠如・不確かな帰属 (有斐閣Insight)
- 作者: 岩田正美
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2008/12/18
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 90回
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児童虐待から考える 社会は家族に何を強いてきたか
《年間10万件を突破し、今なお児童虐待は増え続けている。》
フリーライターの著者が「愛知県武豊町3歳児餓死事件」「大阪2児置き去り死事件」「厚木男児遺体放置事件」を取材し児童虐待の背景要因を探った労作。
下記もおすすめ。
ネグレクト―育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか (小学館文庫)
- 作者: 杉山春
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/08/01
- メディア: 文庫
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考える障害者
《「24時間テレビ」「バリバラ」「乙武氏」「パラリンピック」から「やまゆり園事件」まで、本音度一〇〇パーセントで書き尽くした、前代未聞の障害者論。》
著者は「史上初の身体障害者お笑いタレント」(デビューは1994年)。Eテレのバリアフリーバラエティ「バリバラ」の流れを作った先駆者です。
著者の本は数多あります。
笑え!五体不満足―車椅子の芸人ホーキング青山が生きることを本気で語る毒舌録
- 作者: ホーキング青山
- 出版社/メーカー: フーコー
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
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目に見えない世界を歩く 「全盲」のフィールドワーク
《目が見えない人は、目に見えない世界を知っている―。障害当事者という立場から盲人史研究に取り組み、現在は独自の“触文化論”を展開する文化人類学者がその半生と研究の最前線を綴る。 》
下記もおすすめ。
ぼくの命は言葉とともにある (9歳で失明、18歳で聴力も失ったぼくが東大教授となり、考えてきたこと)
- 作者: 福島智
- 出版社/メーカー: 致知出版社
- 発売日: 2015/05/30
- メディア: 単行本
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「子なし」のリアル
「子どもがいない人」の実態を探った本です。自分の老後の面倒を看させるために子どもを作る人なんていないと思いますが、「子どもがいない人」に対して「老後はどうするの?」と言ったりする人は意外に多い。
「子どもがいてあたりまえ」という固定観念を見直すにはよい本だと思います。
孤独とセックス
「18歳男子」向けに書かれた性愛の本。
目次を見た感じでは「性教育」に近い内容ですね。
高校生からわかる原子力
2012年刊の文庫化。わかりやすさに定評のある「池上ブランド」。
原子力問題の基礎知識を知るにはこの本からで間違いなし。
核兵器と原発 日本が抱える「核」のジレンマ
原発問題と核兵器問題(核の傘・核抑止論など)について論じた本です。内容的には《核分裂のしくみから、核軍縮の国際的枠組みに至るまで、幅広い課題を扱っている。北朝鮮の核問題、トランプ大統領の登場など、最新の課題も取り扱う》。入門書としてよいと思います。
科学者と軍事研究
「科学者と戦争」の続編。昔から科学と軍事は切っても切れない関係だと言われていますが、政府の軍事開発と科学者の研究欲求が結び付いたときの「暴走状態」をいかに予防するかが課題になります。
下記の本もおすすめです。
ニッポンの肉食 マタギから食肉処理施設まで
日本の肉食文化について書かれています。食育(特に肉食)に興味のある方は要チェックですね。
日本の肉食文化に関しては中村生雄さんの本が有名です。
おにぎりと日本人
「おにぎりのナゾ」に迫った本。おにぎりは元を辿ると弥生時代の神事にまで遡るそうです。発想的には単にご飯を丸めただけなのですが、まさか最初におにぎりを発明した人はこれほどまでの広がりに発展するとは思っていなかったはず…。
世界神話学入門
世界のあらゆる神話は「ゴンドワナ型」と「ローラシア型」の二つのタイプに大別することができるそうです(ちなみに日本神話はローラシア型)。これを「世界神話学説」と呼び、近年のDNA分析や考古学によってその仮説が裏付けられつつあると言います。
神話に興味のある方は面白いかも…。
自分の中に毒を持て あなたは“常識人間”を捨てられるか
岡本太郎のヒット作が新装版で登場。私の座右の書です。
決して岡本太郎のように生きることはできない。が、岡本太郎のようにはありたい…と、願い思いつつ生きるようにしています。
さくっと知りたい方は下記がおすすめ。
我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち
我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)
- 作者: 川端裕人,海部陽介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/12/13
- メディア: 新書
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ホモ・サピエンスが誕生する以前に存在していた「人類」(ジャワ原人やフローレス原人など)について考察した人類進化の本です。なぜホモ・サピエンスだけが生き残ったのでしょうか…。
地球外生命体 実はここまできている探査技術
《地球外生命体発見の可能性をわかりやすく解説》。ごく微小なバクテリアのような生命体ならおそらくどこかには存在しているはずですが、それが「知的な生命体」(宇宙人?)かどうかはわかりません。
そういえば最近話題になったニュースで「米国・極秘裏にUFOを調査していた」というのがありましたね。
脳の誕生 発生・発達・進化の謎を解く
まだまだ「脳ブーム」は続いている模様です。
この本は受精卵から脳がつくられるメカニズム(脳の発生・発達)と進化によってヒトの脳がつくられた過程を解説しています。
雲を愛する技術
雲を科学的に解説した本です。ジャンル的には地球科学(気象科学)。この手の本にしてはかなり売れているようで、Amazonのレビュー評価で絶賛されています。雲を科学的に知りたい方は絶対必読でしょう。