おんざまゆげ

@スラッカーの思想

【映画】1月に観た映画の感想(22作品)

 年末年始・正月休みにいつもよりたくさんの映画を観たので、ざっくり感想レビューを書いてみました。

 ちなみに私は映画館には行きません。映画はすべてDVDとかAmazonなどの動画配信サービスを利用しています。そして、評価がある程度定まっている映画を重点的に観るようにしています。*1

 ジャンル的には「人工知能(AI)」系の映画が多かったように思います。

 あとなぜか「谷村美月」さんが出演している映画も多かった…。

 

 

 

 

洋画

 

 オートマタ
オートマタ(吹替版)

オートマタ(吹替版)

 

人工知能」系SF映画です。人工知能どうしを会話させるとそのうち人間には理解できない「謎のコミュニケーション」をし始めるという現象があります。こういうのを「恐怖=人間の敵」と捉えるか、むしろ「未来への希望」と捉えるか…。この映画は前者に軸を置きながら後者へと繋がる話になっています。

終わりの始まり…? 独自言語で話しはじめた人工知能、Facebookが強制終了させる | ギズモード・ジャパン

 

 

 

エクス・マキナ
エクス・マキナ (吹替版)
 

 この映画も「人工知能」系SFです。ただしアイロニー系でもあります。「人間/ロボット」という差異(=生命)だけでなく「男性/女性」という差異ジェンダーにも切り込んでいます。以下ネタバレ⇒*2

 

 

 

 メッセージ
メッセージ (吹替版)

メッセージ (吹替版)

 

未知との遭遇」系SF映画です。 この映画を観終わった後、思わず出生前診断のことを考えてしまいました。映画の内容は出生前診断には何の関係もありませんが、主人公の女性言語学者はたとえ出生前診断で「異常」が見つかっても生む人なのです。「子どもを生む」ということがどういった価値的意味を持つのかをアクロバティックなSF的手法(未来の出来事が分かる!)で私たちに教えてくれる素晴らしい映画でした。 

 

 

 

 ゴースト・イン・ザ・シェル

 これも一応「SFロボット」系映画です。最初から最後まで違和感しかなかった…。

 

 

 

アニメ

 

 君の名は。
君の名は。

君の名は。

 

  私はダメでした〜。やっぱり「男が女を救う!」というドラマツルギーが感じられると途端に「うわっ!ムリぃ〜」という具合になります。こういう形式の映画はすごく多いです。「男が女を〜」がマッチョイズム、「救う!」がヒロイズム。その二つがジェンダーを媒介にして自然につながっています。*3

 アニメ版『時をかける少女』もすごく似通っている作品なのですが、こちらは「男が女を救う」と思いきやラストのラストで「救われない」みたいなオチになっています。なぜかこちらの作品は号泣しました。私にとっては「救われなさ」の方に現実のリアルを感じます。

 

時をかける少女 [Blu-ray]

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planetarian ~星の人~
planetarian?星の人?

planetarian?星の人?

 

人工知能ロボット」系アニメです。感動系ですね。泣かせるためだけに作ったみたいな…。私は一ミリも感動しませんでしたが…。

 

 

 

楽園追放 Expelled from Paradise

人工知能ロボットSFアクション」系アニメです。アクション(戦闘シーン)が素晴らしい映画。ただひとつネックなのが主人公の女性のキャラがまんま「エヴァのアスカ」になっているところ。

 

 

 

 イヴの時間 劇場版
イヴの時間 劇場版

イヴの時間 劇場版

 

人工知能ロボット」系アニメ。友情系です。ちょっと薄味すぎる…。もうひとひねり欲しかったです。

 

 

 

 虐殺器官
虐殺器官 [Blu-ray]

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 伊藤計劃SF小説を映画化した作品。制作会社の倒産などのために一時は頓挫しかけた映画です。幻の作品にならなくてよかった。内容的にも素晴らしいと思います。

 

 

 

 この世界の片隅に
この世界の片隅に
この世界の片隅に
 

  やっぱり「のん」に尽きる! のん最高! あと、主人公のすずさんの平凡さが尊すぎる。こういう「平凡さゆえに尊い」と感じられる作品(戦争映画)はあまり観たことがなかったのですごく新鮮でした。観終わった後にじわっとくる感じです。

 すずさんを通して「平凡さゆえの尊さ」を感じた後に、すぐに恐ろしく思うのはこういう平凡なすずさんが他にも大勢いただろうと想像できるからです。逆に、そのような平凡な人たちも戦争を支持してしまうのだ、という大衆の原像論的な視点も忘れてはならないと思いました。

 

 

 

邦画

 

14歳 
14歳 [DVD]

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  映画『ある朝スウプは』に主演されていた廣末哲万さんがメガホンをとった作品です。「学校」(いじめや暴力)がテーマになっています。

 

ある朝スウプは [DVD]

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カナリア
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 オウム真理教事件をベースにして作られた映画。内容よりも主演を努めた谷村美月さんの演技が素晴らしいと思います。谷村さんは15歳のときにこの映画でデビューしましたが、既に15歳にして演技が完成されています。

 

 

 

おにいちゃんのハナビ 
おにいちゃんのハナビ [DVD]

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 谷村美月さんが白血病患者を演じるためにスキンヘッドになったという有名な作品です。内容的には感動系の映画ですが、 思わず「こんな妹いねーよ!」とツッコミたくなる映画です。せっかく谷村さんが体を張ったのに…残念でしかたがない。谷村さんは演技はすごくいいのになぜか作品にはあまり恵まれていない感じがします。

 

 

 

 おろち
おろち

おろち

 

 楳図かずおの恐怖漫画『おろち』の映画化。 主演の木村佳乃中越典子谷村美月の三人の女優の演技が素晴らしい! 木村佳乃さんにいたっては怪演と言っていいほどの凄みを感じる名演でした。もちろん谷村美月さんもいい感じです。

 

 

 

 トリハダ 劇場版

 独立した作品が組み合わさっているオムニバス形式の恐怖映画になっています。おすすめなのは第五話「自身に降りかかった悪夢と結末の相違」の殺され方でしょうか…。

 もちろんこちらも谷村美月さんが主演しています。

 その他に谷村さんが出演している作品でおすすめしたいものを紹介します。

 

 SPEC ~翔 ~

 TBSのスペシャルドラマですが、谷村美月さんが重要な人物を演じています。特に後半の谷村さんの演技(豹変演技!)に注目です!

 

 

 罪の余白
罪の余白

罪の余白

 

  芦沢 央さんの小説を映画化した作品です。谷村美月さんは名脇役が多のですが、この作品でもこれぞ名脇役といった「おどおどした女性」を演じています。

 

 

 たぶらかし 代行女優業・マキ

 安田依央さんの小説をドラマ化した作品。深夜にやっていた1話あたり30分ほどのドラマですが谷村美月さんの演技力が反映された作品になっています。

 

 

 

 リング0 バースデイ
リング0?バースデイー
 

 仲間由紀恵さんが貞子を演じています。清純派の女優さんがよくぞ貞子役を引き受けたなぁと感心しておりましたが、実は、貞子は二人存在しており(恐い貞子と清純派の貞子)、なんと仲間さんが演じたのは清純派の貞子の方なのでありました…。 

 

 

 

 リング2
リング2

リング2

 

 この作品に主演していたときの中谷美紀さんが一番よかったかなぁ…。中谷美紀さんも石田ゆり子さんのようにセカンドブレイクしてほしいかぎりです。

 ちなみにリング2の見どころは、小日向文世さんがプールに謎のダイブをして溺死するシーン…。ここは何度観ても面白いです。

 

 

 

 異人たちとの夏
異人たちとの夏

異人たちとの夏

 

 ちょっとした恐怖系の映画です。しかも感動系でもあります。 キャストも素晴らしいのですが、制作陣もすごい。監督:大林宣彦、脚本:市川森一、原作:山田太一という凄すぎるメンバーです。やっぱりこの映画は夏に観た方がいいですね。

 

 

 

 シン・ゴジラ
シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

 

 長谷川博己さんの演技が好きなのですが、この作品ではあまり活かされていない感じがします。セリフが多すぎです。 

 

 

 

 ICHI
映画「ICHI」

映画「ICHI」

 

  女性版の座頭市。内容は可もなく不可もなしですが、主演の綾瀬はるかさんの佇まいが素晴らしいです。この作品がきっかけで綾瀬さんは大河ドラマ『八重の桜』や『精霊の守り人』の主演抜擢に繋がったと言われています。

 

 

 

 愛の渦
愛の渦

愛の渦

 

  池松壮亮さんは『MOZU』でも感じたのですが、ちょっとばかし演技が微妙な感じがします。顔がベビーフェイスすぎてもったいない。というか、役柄と見た目の印象がミスマッチすぎます。台詞回しも棒読み系ですし…。

 しかし、相手役を演じた門脇麦さんの演技は凄い! 門脇さんは見た目の印象は井上真央さんに似ているんですが、門脇さんの場合はそこから豹変できるのです。目立たない地味な女の子役からSMの女王役まで演じきれるのが門脇さん(ちなみに谷村美月さんもそれ(豹変)が出来ます)。井上さんはSMの女王は出来ませんよね…。やっぱり演技の振り幅が広くて豹変できる役者さんはすごいと思います。

 

 

 

 二重生活
二重生活

二重生活

 

 長谷川博己さんと門脇麦さんが出演しています。しかし、内容的にはつまらない映画でした。 せっかく豹変系の役者さんが出ているのにもったいないです。やっぱり豹変が観たい。

 長谷川博己さんだったら園子温監督の『ラブ&ピース』と『地獄でなぜ悪い』の狂った演技がおすすめです。

 

ラブ&ピース

ラブ&ピース

 

  

地獄でなぜ悪い

地獄でなぜ悪い

 

 

*1:「どんなにつまらない映画でも観ないよりはマシ!」

 私は『君の名は。』を観てもほとんど感動できなかった稀有な特殊体質であるため、観る映画の7割ほどが「つまらない」判定になってしまいます。こういう人間にとって映画というコンテンツは「超コスパわるい」のです。

 映画館に入るのは誰にとっても「賭け」です。映画を観て「よい・わるい」が判明するのは約2時間後。すべて観終わった後でなければ判定不能です。本だったら「立ち読み」ができますが、映画はそういうことができない。始めから最後までリニアに観きった後でないとすべてが分からないという構造になっています。

 世の中には「感動的な作品」を観てもほとんど感動できない人間がおり、ではこういう人たちは「だったら観なければいいじゃん」ということになるのか。単に個人的に性格が捻くれているだけなのか。自分の個人的な感じ方を矯正して世間一般の感受性に合わせなければならないのか…。

 そんなふうにいろいろ考えているときに、ある映画評論家の「どんなにつまらない映画でも観ないよりはマシである」という逆転の発想に出会いました。これは映画に対する性善説のようなもので、映画愛が深いがゆえの映画全肯定の思想です。

 つまりこれは「映画を肯定するから映画を観る⇒映画を観るから映画を肯定する」という無条件の肯定的プロセスが映画を観る動機づけになっているのです。これこそが重要なのであり「面白い/つまらない」「感動できる/できない」というのは二次的なものにすぎないということです。

 なるほどと肯きました。それ以来、「つまらない」とか「感動できない」ということをあまり気にしない様にしています。

 

*2:こういうSF映画では「男=人間」が「女性=ロボット」を救う!という図式(マッチョイズム的ヒロイズム)が多いですよね? 私はこういう図式が苦手なのでこの映画は最高に素晴らしい!と思ってしまいました…。

 

*3:そういう意味では宮﨑駿さんの作品は「男が女を救う!」という単純な図式にはなっていないと思います。微妙な作品は多々ありますが…。