おんざまゆげ

@生き延びるために...

生き延びるための読書計画 2019 — 労働・貧困・セクシュアリティ

「計画」と言っても適当です...

「生きづらさ」低減に向けた「生き延びるための読書」計画を立てました。計画といってもざっくりした大枠ですので、計画から逸れて他の分野に飛ぶかもしれません。

 あと、一年間でやれるかどうかは私の精神的な気分・体調と自由時間が関係しています。計画に縛られる人生なんて御免なので「とりあえずの目標」程度に考えております。つまり、適当です。

 (それと、今回の読書計画は以下で紹介する本は「すべて読破してやるぞ!」みたいな宣言ではありません。おそらく8割ほどは該当箇所を調べる程度です。)

適当教典

適当教典

 

 

 

 「生きづらさ」に対するアプローチの仕方

 私の考え方、特に「生きづらさ」に関する方法論的なアプローチについては以下の記事で詳細に述べています。

 

 その後『「すべての生が無条件に承認される社会」へ向けて』の中で「生きづらさ」に関する見取り図をご紹介いたしました。今でも以下の図のように考えています。

 

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セクシュアリティ」に関しては主にアイデンティティの承認問題、「労働・貧困」に関しては「貧しさと寂しさ」(物質レベルと承認レベル)に跨った領域横断的な問題です。「ジェンダー」に関しては「セクシュアリティ」と「労働・貧困」の二つに関与していると考えられます。

 その他に「すべての生が無条件に承認される社会」に向けて重要だと思われる問題領域が二つあります。一つは世界の貧困問題、もう一つは動物に対する搾取の問題(アニマルライツ)です。「物理的に離れた地域に住んでいる他者」と「種を越えた人間以外の動物」に対しても道徳的配慮の対象として考えなければならないと思っています。

 

「労働・貧困」と「セクシュアリティ

 とりあえず、「労働・貧困」に関する問題と「セクシュアリティ」に関する問題の二つを中心に考えています。

 当初は知りうる限りの文献情報をすべて紹介しようと思っていましたが、それをやるとすごく大変(時間的にも分量的にも...)なので最小限に絞って紹介することにしました。

 

「労働・貧困」問題ーマルクスアーレント・ポランニー

 これに関しては二つの軸があります。

 (1) 労働の本質論 → 労働とは何か

 (2) 日本企業のブラック労働 → ワーキングプアなどの貧困問題

 

 (2)に関してはたくさんの文献(新書など)が出版されているので、そういう本を読めばわりと簡単に知ることができるかと思います。問題なのは(1)の方です。おそらく(1)を突き詰めれば(2)の問題点についてはおのずと見えてくるはずです。よって、今年の一年は(1)を中心にやっていきたいと思っています。

 以下の思想家三人を中心に考えています。裏テーマは「資本主義社会」です。*1

 ・マルクス → 「資本論」第一巻

 ・アーレント →「人間の条件」と「全体主義の起源

 ・ポランニー →「大転換」とその他の論文

 

 しかしながら、主著の「古典読解」などはしません。時間的にも頭脳的にも不可能です。まずは上記の三人の主著に関する入門書や解説書を中心に読んでいきたい。次に、深掘りしたい部分だけ主著にあたるという「邪道」で行きます。

 

資本論〈第1巻(上)〉 (マルクス・コレクション)

資本論〈第1巻(上)〉 (マルクス・コレクション)

 

 

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

 

 

[新訳]大転換

[新訳]大転換

 

 

 

「労働・貧困」問題の文献(その他)

「労働・貧困」関係の主な文献をあげておきます。

 

・労働と思想

労働と思想

労働と思想

 

 

・近代の労働観

近代の労働観 (岩波新書)

近代の労働観 (岩波新書)

 

 

・だれのための仕事

だれのための仕事――労働vs余暇を超えて (講談社学術文庫)

だれのための仕事――労働vs余暇を超えて (講談社学術文庫)

 

 

・私たちはなぜ働くのか

私たちはなぜ働くのか マルクスと考える資本と労働の経済学

私たちはなぜ働くのか マルクスと考える資本と労働の経済学

 

 

・なぜ私たちは、喜んで“資本主義の奴隷"になるのか?

なぜ私たちは、喜んで“資本主義の奴隷

なぜ私たちは、喜んで“資本主義の奴隷"になるのか?

 

 

・仕事の裏切り なぜ、私たちは働くのか

仕事の裏切り なぜ、私たちは働くのか

仕事の裏切り なぜ、私たちは働くのか

 

 

・日本人はいつから働きすぎになったのか

 

・仕事と日本人

仕事と日本人 (ちくま新書)

仕事と日本人 (ちくま新書)

 

 

・子どもの貧困

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

 
子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)

子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)

 

 

・弱者の居場所がない社会

弱者の居場所がない社会――貧困・格差と社会的包摂 (講談社現代新書)

弱者の居場所がない社会――貧困・格差と社会的包摂 (講談社現代新書)

 

 

 

セクシュアリティ」関連

 軸としては以下の二つです。

 (1) 恋愛結婚イデオロギー(強制異性愛主義) 

 (2) セクシュアル・マイノリティ問題

 

 実はこの問題も先ほどの「労働・貧困」問題と関係しています。正確に言うなら「通底している」と言ったほうがいいかもしれません。なぜなら、恋愛も結婚もセクシュアリティも「資本主義社会における...」という前提が欠かせないからです。

 私たちがイメージしている「恋愛」(経験可能な現実的実際的な恋愛)は「文学が描く普遍的恋愛」ではなく「資本主義社会における恋愛」です。「普遍的恋愛」なんて文学の世界ではありえても現実社会には存在しないでしょう。

 当然、結婚もしかりです。なぜ、シングルマザーは最貧困に陥るのか...。これは「資本主義社会における結婚」が性差別(ジェンダー不平等)に傾いているからです。

 なぜ、セクシュアル・マイノリティは「マイノリティ」なのか...。これも「資本主義社会における恋愛」が強制的に異性愛主義(ある人にとっては差別的な構造)になっているからです。

 現段階のあらゆる社会問題には「資本主義社会における...」という前提条件が濃密に関与しています。だからマルクスは今でも偉大でありフェミニズムジェンダー理論)にとっても欠かせない存在なのです。...ということで、マルクス主義フェミニズムの「上野千鶴子(特に初期の業績)は欠かせません。

 (1)と(2)が関係する領域から派生的に生まれてくるのが「男らしさ」(マスキュリニティ)の生きづらさ問題です。この問題が無視できないのは「私が男だから」ということも関係していますが、「女性」に関してはフェミニズムの分厚い蓄積があるのに対し、男らしさ問題に関しては今でも手薄なところがあります。「男は特権階級なのだから...」ということで今までずっと放置されてきたわけです。*2

  そこで、セクシュアリティ関連の読書計画としては以下のようになりました。「労働・貧困」問題にも通底しているテーマ群に関しては別途(3)に分類しておきます。

 

(1) 「恋愛結婚イデオロギー」に関するもの

 

恋愛結婚の歴史

・恋愛制度、束縛の2500年史

 

・『主婦の友』にみる日本型恋愛結婚イデオロギー

『主婦の友』にみる日本型恋愛結婚イデオロギー
 

 

・恋愛結婚は何をもたらしたか

恋愛結婚は何をもたらしたか (ちくま新書)

恋愛結婚は何をもたらしたか (ちくま新書)

 

 

・「恋愛学」講義

「恋愛学」講義

「恋愛学」講義

  • 作者: スーザン・S.ヘンドリック,クライドヘンドリック,Susan S. Hendrick,Clyde Hendrik,斉藤勇,奥田大三
  • 出版社/メーカー: 金子書房
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 単行本
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・情熱としての愛——親密さのコード化

情熱としての愛―親密さのコード化

情熱としての愛―親密さのコード化

 

 

 

結婚制度(近代家族制度)

・「まだ結婚しないの?」に答える理論武装

「まだ結婚しないの?」に答える理論武装 (光文社新書)
 

 

・シングル単位の恋愛・家族論―ジェンダーフリーな関係へ

 

・家族、積みすぎた方舟―ポスト平等主義のフェミニズム法理論

家族、積みすぎた方舟―ポスト平等主義のフェミニズム法理論

家族、積みすぎた方舟―ポスト平等主義のフェミニズム法理論

 

 

・家族 (ワードマップ)

家族 (ワードマップ)

家族 (ワードマップ)

 

 

上野千鶴子とその他マルフェミ関連

・家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平

家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)

家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)

 

 

・資本制と家事労働―マルクス主義フェミニズムの問題構制

資本制と家事労働

資本制と家事労働

 

 

・近代家族の成立と終焉

近代家族の成立と終焉

近代家族の成立と終焉

 

 

・生き延びるための思想―ジェンダー平等の罠

生き延びるための思想 新版 (岩波現代文庫)

生き延びるための思想 新版 (岩波現代文庫)

 

 

・お金と愛情の間―マルクス主義フェミニズムの展開

お金と愛情の間―マルクス主義フェミニズムの展開

お金と愛情の間―マルクス主義フェミニズムの展開

 

 

・資本主義と性差別―ジェンダー的公正をめざして

資本主義と性差別―ジェンダー的公正をめざして

資本主義と性差別―ジェンダー的公正をめざして

 

 

(2) セクシュアル・マイノリティ

 

男らしさ問題

男性学入門

男性学入門

男性学入門

 

 

・「男らしさ」のゆくえ―男性文化の文化社会学 

 

・「男らしさ」という神話―現代男性の危機を読み解く

 

・男であることの困難―恋愛・日本・ジェンダー

男であることの困難―恋愛・日本・ジェンダー

男であることの困難―恋愛・日本・ジェンダー

 

 

・男らしさという病?―ポップ・カルチャーの新・男性学

男らしさという病?―ポップ・カルチャーの新・男性学

男らしさという病?―ポップ・カルチャーの新・男性学

 

 

 

・「男らしさ」の快楽―ポピュラー文化からみたその実態

「男らしさ」の快楽―ポピュラー文化からみたその実態

「男らしさ」の快楽―ポピュラー文化からみたその実態

 

 

イーストウッドの男たち―マスキュリニティの表象分析

イーストウッドの男たち―マスキュリニティの表象分析

イーストウッドの男たち―マスキュリニティの表象分析

 

 

・性的不能者裁判―男の性の知られざる歴史ドラマ

性的不能者裁判―男の性の知られざる歴史ドラマ

性的不能者裁判―男の性の知られざる歴史ドラマ

 

 

非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か

 

もてない男恋愛論を超えて

もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)

もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)

 

 

・日本の童貞

日本の童貞 (河出文庫)

日本の童貞 (河出文庫)

 

 

・決定版 感じない男

決定版 感じない男 (ちくま文庫)

決定版 感じない男 (ちくま文庫)

 

  

セクシュアリティ関連クィアなど)

現代思想 1997年5月 臨時増刊号 総特集=レズビアン/ゲイ・スタディー

 

クィア・セクソロジー―性の思いこみを解きほぐす

クィア・セクソロジー―性の思いこみを解きほぐす

クィア・セクソロジー―性の思いこみを解きほぐす

 

 

・クイア・スタディーズ (思考のフロンティア)

クイア・スタディーズ (思考のフロンティア 第II期)

クイア・スタディーズ (思考のフロンティア 第II期)

 

 

・ゲイ・スタディー

ゲイ・スタディーズ

ゲイ・スタディーズ

 

 

・プライベート・ゲイ・ライフ ポスト恋愛論

プライベート・ゲイ・ライフ―ポスト恋愛論 (学陽文庫)
 

 

・「レズビアン」である、ということ

「レズビアン」である、ということ

「レズビアン」である、ということ

 

 

レズビアンアイデンティティーズ

レズビアン・アイデンティティーズ

レズビアン・アイデンティティーズ

 

 

・百合のリアル

百合のリアル (星海社新書)

百合のリアル (星海社新書)

 

 

・女たちの時間―レズビアン短編小説集

女たちの時間―レズビアン短編小説集 (平凡社ライブラリー (274))

女たちの時間―レズビアン短編小説集 (平凡社ライブラリー (274))

 

 

・脳が決める男と女―性の起源とジェンダーアイデンティティ

脳が決める男と女―性の起源とジェンダー・アイデンティティ

脳が決める男と女―性の起源とジェンダー・アイデンティティ

 

 

クィア・サイエンス―同性愛をめぐる科学言説の変遷 

クィア・サイエンス―同性愛をめぐる科学言説の変遷

クィア・サイエンス―同性愛をめぐる科学言説の変遷

 

 

・関係する女 所有する男

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)

 

 

・性現象論―差異とセクシュアリティ社会学

性現象論―差異とセクシュアリティの社会学

性現象論―差異とセクシュアリティの社会学

 

 

・性愛論 

性愛論 (河出文庫)

性愛論 (河出文庫)

 

 

・言語/性/権力―橋爪大三郎社会学論集

言語/性/権力―橋爪大三郎社会学論集

言語/性/権力―橋爪大三郎社会学論集

 

 

・親密性の変容

親密性の変容

親密性の変容

 

 

・性への自由/性からの自由 ポルノグラフィの歴史社会学

性への自由・性からの自由―ポルノグラフィの歴史社会学 (クリティーク叢書)
 

 

フーコー・コレクション〈5〉性・真理

  

 

ジェンダーフェミニズム

・新しい女性の創造

新しい女性の創造

新しい女性の創造

 

 

・性の政治学

性の政治学 (1985年)

性の政治学 (1985年)

 

 

ジェンダーと権力―セクシュアリティ社会学

ジェンダーと権力―セクシュアリティの社会学

ジェンダーと権力―セクシュアリティの社会学

 

 

ジェンダー化される身体

ジェンダー化される身体

ジェンダー化される身体

 

 

ジェンダー秩序

ジェンダー秩序

ジェンダー秩序

 

 

・正義・ジェンダー・家族

正義・ジェンダー・家族

正義・ジェンダー・家族

 

 

・正義・家族・法の構造変換―リベラル・フェミニズムの再定位

正義・家族・法の構造変換―リベラル・フェミニズムの再定位

正義・家族・法の構造変換―リベラル・フェミニズムの再定位

 

 

・ケアの倫理からはじめる正義論―支えあう平等

ケアの倫理からはじめる正義論―支えあう平等

ケアの倫理からはじめる正義論―支えあう平等

 

 

・ケアの絆―自律神話を超えて

ケアの絆―自律神話を超えて

ケアの絆―自律神話を超えて

 

 

・境界を攪乱する―性・生・暴力

境界を攪乱する――性・生・暴力

境界を攪乱する――性・生・暴力

 

 

倫理学フェミニズムジェンダー、身体、他者をめぐるジレンマ

 

・異なっていられる社会を

異なっていられる社会を

異なっていられる社会を

 

 

 

(3) 「労働・貧困・セクシュアリティ」——共通しているテーマ

・生活保障のガバナンス ジェンダーとお金の流れで読み解く

生活保障のガバナンス -- ジェンダーとお金の流れで読み解く

生活保障のガバナンス -- ジェンダーとお金の流れで読み解く

 

 

・いまこそ考えたい 生活保障のしくみ

いまこそ考えたい 生活保障のしくみ (岩波ブックレット)

いまこそ考えたい 生活保障のしくみ (岩波ブックレット)

 

 

 ・働く女子の運命

働く女子の運命 (文春新書)
 

 

・仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか

 

・女性活躍後進国ニッポン

女性活躍後進国ニッポン (岩波ブックレット)

女性活躍後進国ニッポン (岩波ブックレット)

 

 

脚注 

*1:  アーレントやポランニーの重要性を私に気づかせてくれたのは『生きるための思想』を運営しておられる「はるちゃん」氏です。本当に感謝している次第です。

nagne929.hatenablog.com

 

twitter.com

  はるちゃんのブログは当ブログ開設以来ずっと参考にさせてもらっています。はるちゃんはブログでは主に理論的な考察を、ツイッターでは主に活動的実践をされておられる理論と実践を兼ね備えたアクティビストです。これからもはるちゃんの活動を見習っていきたいと思っております。以下は、はるちゃんのアーレントとポランニーに関する記事です。(その他にも参考になる情報がたくさんあります。)

0円マーケットをやってみて - 生きるための思想

市場経済だけが経済ではない - 生きるための思想

「自由」に生きられるか? - 生きるための思想

いのちの電話 - 生きるための思想

「世界」をつくる(『アレント入門』より) - 生きるための思想

  

*2: これに関しては上野千鶴子の以下の発言が有名です。

...フェミニスト上野千鶴子は「(性的弱者は)コミュニケーション・スキルを磨いていただくしかない」「マスターベーションしながら死んでいただければいいと思います。冷たいでしょうか」と言ったことがある上野千鶴子宮台真司「メディア・セックス・家族」『論座朝日新聞,1998年8月号)

非モテの品格,p128,2016)より

  上野はそれ以降もこの痛烈なスタンスをずっと維持し続けていましたが、ある時期からその応じ方が少し変わります。上野の「男らしさ問題」に対するテンプレ対応は「マスターベーションしながら死ねばいい」という痛烈な言明から「“だめ連”があるからダメ男はそういう場所に行けばいい」という応じ方に変化しました。結局、上野からしてみたら「男の生きづらさ問題なんて男が解決しろよ...女の問題は女が解決してきたんだから...(私にそれを聞くなよ!)」ということなのでしょう。