不平等
心理学者のマズローが提出した「欲求階層モデル」。高校の「現代社会」のような科目にも登場するような有名な図であるが、あらためてこのモデルを考えてみると恐ろしいほどの「無理ゲー」になっていることに気づいた。 詳細はマズローの主著である『人間性の…
イラク戦争の最中、米軍の爆撃により運命を変えられたふたりの子ども。偶然にもアリという同じ名前を持ち、同じ病院で治療を受けたふたりの子どもの惨劇を通して、イラク戦争が罪のない一般のイラク人にもたらした辛い現実を描いたドキュメンタリー。 バグダ…
・「尊重」とは「否定しない」こと 私の理解では、「尊重」(=respect)というのは、「個人の尊厳を尊重する」ということ。どんなことがあっても他者をバカにしたり貶んだり蔑視したりしない態度のことです。ひとことで言うなら「個人の存在を否定しない」こと…
「日常生活に潜むリバタリアニズム」(=「わたしが働いて得たお金はすべてわたしのものだ」というロジック)を批判する主張(引用メモ)を紹介する。批判対象は主にロック的所有権論=ノージック的リバタリアニズムである。具体的には、租税の正義論・分配的…
2005年に出版された白石一文さんの長編小説。2014年にはWOWOWにてドラマ化もされました。 【内容】 大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康との別離後、彼の母親から手紙を…
著者の経歴と本書の内容 今回紹介する本はシュラミス・ファイアストーン [ Shulamith Firestone ] が著した『性の弁証法』。副題は「女性解放革命の場合」です。ファイアストーンは1945年カナダ・オタワに生まれ、大学では美術の学位を取得。その後、画家と…
今回は「生きづらさ」と「承認」の問題を考えてみようと思います。 前半では「承認と生きづらさの関係」「承認と自尊の関係」を考えます。 後半では「ただ生きているだけで生が否定されてしまう社会構造」を批判的に問題にし、それにかわる「すべての生が無…
「社会的包摂」政策にかんする入門書 「社会的包摂」とは、(1)社会にビルトインされた「社会的排除」のメカニズムを明らかにし、(2)社会的排除のメカニズムを停止・失効させたうえで、(3)誰もが社会の中に包みこまれながら無理なく生きられる社会を…
あらゆる媒体に寄稿された文章をまとめたもの。 その中身は教育社会学者らしいデータ重視の固めの論文から軽いタッチでドラえもん批判を展開するエッセー風のものまで幅広いスタイルで書かれている。 そのほかに阿部真大さん(『搾取される若者たち―バイク便…
本田由紀さん編集の論文集。 編集構成は、前半では若者を取り巻く社会環境の変化についての総論的な分析がなされ、それをうけて後半では「若者と労働」、「若者の生活世界」という二つの各論分析がなされている。 … 若者が抱える苦しみや豊かさが、“われわれ…
「生きづらさ」に関する鼎談本 現場で活動している湯浅誠さんと河添誠さんが、学者や専門家の方々をゲストに迎えて現代日本の「生きづらさ」について議論している鼎談本。 「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ 作者: 本田由紀,後藤道夫,中西新太郎,湯浅…
社会に「溜め」をつくるには… この本の前半部分は、貧困に対する自己責任論への反論が分かりやすく論じられている。 後半部分は、“溜め”のある社会へと移行するにはどうすればいいか、そのために活動する「活動家」(市民)とはいったいどんなものなのか、と…
著者はある日、原因不明の難病におそわれる。 大学院で「ビルマ難民」の研究をし、現地(ビルマ)で活動中の頃だった…。 ([お]9-1)困ってるひと (ポプラ文庫) 作者: 大野更紗 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2012/06/20 メディア: 文庫 購入: 3人 クリッ…
… 自身の成功体験からほかの人々の人生を断罪するような物言いをしそうになってしまう、そんなこともあるいはあるかもしれない。もしそんなことがあれば、一息ついて思い出してほしい言葉がある。[ … ] 自己責任論に陥りそうになったら、このクスリを飲んで…
「生きさせる思想」とは… 雨宮処凛さんと小森陽一さんとの対談本。 前半は雨宮さんの個人史がテーマになっています(記憶の解析→雨宮さんを苦しめていた「生きづらさ」はいったい何に由来するものだったのか。 ) 自分自身を責めつづける方向(リストカット…
「論座」(2007年1月号)に寄稿した論文「『丸山眞男』をひっぱたきたい~31歳フリーター。希望は、戦争。」収録の文庫版。 若者を見殺しにする国 作者: 赤木智弘 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2013/09/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブロ…
「視線のとまどい」 彼らに見つめられると、心の中に言葉にならない感情が生まれる。 まっすぐに見つめ返すと、傷つけてしまうのではないか。 かといって、急に目をそらすのも失礼だ。 視線をどこに向けたらよいのか分からない戸惑いと葛藤。 病気やケガによ…
障害学の視点から英米圏の倫理学説(ロールズ「正義論」やシンガー「選好功利主義」など)を批判的に検討し、立岩真也や森岡正博、レヴィナスやデリダの「他者」概念などを導入しながら「生を無条件に肯定する倫理」を構想する書。 生を肯定する倫理へ―障害…
『嫌韓流』の作者が世代間格差を切り口に「若者の貧困問題」について論じたマンガ。 作者は、若者は高齢者の奴隷になっている(若者奴隷時代!)と主張。 マンガながらもデータなどを駆使してその論拠を説得的に示していく。 「若者奴隷」時代 “若肉老食(パ…
外国の翻訳された自己啓発書などを読んでいると「自分自身を尊敬する」という言葉をよく見かけます。私はどうしてもその自己尊敬(セルフリスペクト)という感覚が分かりませんでした。他者に対して尊敬の念を抱くことはあっても、自分自身に対して尊敬の念…
著者の佐藤和夫さんは哲学やジェンダー論が専門の学者で、有名な著作に『仕事のくだらなさとの戦い』がある。これは「労働至上主義」を批判した本であるが、今回の本では「恋愛・家族至上主義」を批判している。 資本主義社会を支えている二つの至上主義(労…
「よりみちパン!セ」シリーズの一冊。 20代前半まで弱視者としてすごし、現在はほぼ全盲にちかい視力の著者が「障害学」の視点から「ふつう」について考察した本です。 だれか、ふつうを教えてくれ! (よりみちパン!セ) 作者: 倉本智明 出版社/メーカー: イ…
今、図書館がスゴいことになっている!? 集中力、発想力、思考力、教養力を得るためのすべてがあった! 一人ひとりが「答えなき問題」への解を出し、自己決定しなければならない時代。司書資格ももつ著者が、最強の使い倒し方を伝授! 序章 図書館の「場」と…
新世界より コンプリート DVD-BOX1 (1-13話, 325分) しんせかいより 貴志祐介 アニメ [DVD] [Import] [PAL, 再生環境をご確認ください] メディア: DVD この商品を含むブログを見る
所有という神話―市場経済の倫理学 作者: 大庭健 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2004/07/27 メディア: 単行本 クリック: 6回 この商品を含むブログ (17件) を見る 「市場経済」を倫理学的に考察した書。