おんざまゆげ

@スラッカーの思想

「二種類の人間」

 自動車教習所に通っていた頃の話です。

 空き時間に教習コースをボーッと見ていました。自動車コースで複数台、バイクのコースには2台走っていた。ザァザァと雨が降っており、バイク教習のジグザク運転はすごく大変そうでした。

 ぼくの他にもボーッと見ているひとが複数人いました。つぎの瞬間、バイクが思いっきり横転。コケた、というレベルではなく、ダイナミックにぶっ転んだのです。

 いっしょに見ていたひとたちの反応が二種類にわかれました。あるひとはゲラゲラと笑い、あるひとは大丈夫かと心配した。ぼくは後者の反応だったのですが、前者のゲラゲラ笑いの反応にはちょっとゾッとしてしまいました。

 横転したバイク教習のひとは幸いにも大きな怪我もなく無事でした 。 

 しかしなぜ、ひとは2種類にわかれるのか。バイクが思いっきり横転したときに、瞬間的にゲラゲラと笑えるのはなぜか...。その後、そのことについて考え込みました。

 ポイントは「瞬間的に」という部分です。あとから(怪我もなく無事だったということがわかってから)笑うのなら少しは理解できるのですが、瞬間的に笑うというのは理解不能です。

 どうやら世の中には、ひとの不幸を瞬間的に笑ってしまうひとがいるのではないか...。これはほんとうに恐ろしいことです。

 ぼくは、ひとが転んだときに「瞬間的に笑う人間」ではなく、「瞬間的に大丈夫かと思える人間」でありたいと思った。ひとの不幸を瞬間的に笑う人間になんてなりたくない。そんな人間には絶対になりたくないと思った。もし、大好きなひとが「瞬間的に笑う人」だったことが判明したら、その瞬間にぼくはそのひとを嫌いになると思います。

 これは、価値観レベルの問題なんでしょうか。倫理観の問題なんでしょうか。「ある瞬間」にそのひとのすべてが表出してしまう。

 これは、教育や育った環境の問題なんでしょうか。性格の問題なんでしょうか。変えられるものなのか、固定したものなのか。

 ぼくは変えられるものだと思っています。