おんざまゆげ

"感受性マイノリティ男子"が綴る日々の雑記・雑感… 読書、映画、アニメの感想。

「すべての生が無条件に承認される社会」へ向けて——「生きづらさ」についての雑記(3)

 今回は「生きづらさ」と「承認」の問題を考えてみようと思います。

 前半では「承認と生きづらさの関係」「承認と自尊の関係」を考えます。

 後半では「ただ生きているだけで生が否定されてしまう社会構造」を批判的に問題にし、それにかわる「すべての生が無条件に承認される社会」へと転換するためには何が必要なのかを考察したいと思います。 *1

  • すべての生が否定されない社会
  • 「生きづらさ」と「承認」の関係
  • 三つの承認形式
    • 「尊重」としての承認(基底的承認)
    • 「愛情」としての承認(感情的承認=本質的承認)
    • 「評価」としての承認(属性的=機能的=価格的承認)
  • 「生きづらさ」と「自尊」の関係
    • 「自尊」を構成する三つの承認形式
    • 承認形式の見取り図
  • 「ただ生きている」だけで生が否定されてしまう社会
  • すべての生が無条件に承認される社会へ
  • 脚注

 

*1: 今回の記事の趣旨について…

 相模原障害者殺傷事件が起こってからもうすぐ一年になります。そこで自分なりに一年間考えてきたことをまとめようと思いました。(一年分のまとめなので長くなりました。)

 長いので目次を作成し、読みやすいように小見出しと改行で多めに区切り、図を挿入しました。最初から最後まで読む人はいないと思うので大事だと思うところは嫌になるほど何度も同じことを繰り返し説明しています。

 

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阿部 彩『弱者の居場所がない社会——貧困・格差と社会的包摂』/すべての人が包摂される「ユニバーサル・デザイン社会」

 「社会的包摂」政策にかんする入門書

「社会的包摂」とは、(1)社会にビルトインされた「社会的排除」のメカニズムを明らかにし、(2)社会的排除のメカニズムを停止・失効させたうえで、(3)誰もが社会の中に包みこまれながら無理なく生きられる社会を目指す社会政策。

 したがって、まず問題になるのは社会的排除である。
 

 

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本田由紀『軋む社会 教育・仕事・若者の現在』/「社会は、変えられる」

あらゆる媒体に寄稿された文章をまとめたもの。

 その中身は教育社会学者らしいデータ重視の固めの論文から軽いタッチでドラえもん批判を展開するエッセー風のものまで幅広いスタイルで書かれている。

 そのほかに阿部真大さん(『搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!』)湯浅誠さん(『貧困襲来』)との鼎談がある。

 問題点は、仕事の格差——家庭格差——教育の格差が緊密に連動していること。仕事の格差は家庭の格差になり、家庭の格差は教育の格差を生みだす。この教育格差は仕事の格差へとつながり、格差は貧困になり連鎖する。この連鎖を断ち切る方法は教育しかない。

 

軋む社会---教育・仕事・若者の現在 (河出文庫)

軋む社会---教育・仕事・若者の現在 (河出文庫)

 

 

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本田由紀『若者の労働と生活世界——彼らはどんな現実を生きているか』/若者が直面するツライ現実

本田由紀さん編集の論文集。

 編集構成は、前半では若者を取り巻く社会環境の変化についての総論的な分析がなされ、それをうけて後半では「若者と労働」、「若者の生活世界」という二つの各論分析がなされている。

 

… 若者が抱える苦しみや豊かさが、“われわれ”と境界のない線分上にあることへの気づきとして開かれるとき、言い換えればそれが「社会的(social)」な問題であると感じられるとき、われわれの前には古くて新しい課題がおぼろげながらその姿を現すことになる——。…

 

若者の労働と生活世界―彼らはどんな現実を生きているか

若者の労働と生活世界―彼らはどんな現実を生きているか

 

 

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芹沢俊介『引きこもるという情熱』『「存在論的ひきこもり」論』/「ある自己」と「する自己」

 引きこもり現象を全面肯定した画期的「引きこもり」論。

 

引きこもるという情熱

引きこもるという情熱

 

 

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見田宗介『現代社会はどこに向かうか《生きるリアリティの崩壊と再生》/「まなざしの不在」の地獄

 社会学見田宗介先生の講演集。 

 超薄い本なのですぐに読める。 

 

現代社会はどこに向かうか《生きるリアリティの崩壊と再生》(FUKUOKA U ブックレット1) (FUKUOKA Uブックレット)
 

 以下、目次

二つの無差別殺人事件
未来の喪失
縮小する世代間ギャップ
「まなざしの不在」の地獄
大爆発期としての近代
変曲点としての現代
GMの君臨と破綻
マーケットの無限化
大量生産・大量消費・大量廃棄
フィクションの時代
せめぎ合う二つのベクトル
征服から共存へ
リアリティへの飢え
新たな時代に向けて

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湯浅誠『「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ』/「生きづらさ」は社会的・構造的問題

「生きづらさ」に関する鼎談本

 現場で活動している湯浅誠さんと河添誠さんが、学者や専門家の方々をゲストに迎えて現代日本の「生きづらさ」について議論している鼎談本。

 

「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ

「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ

 

 

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湯浅誠『どんとこい、貧困』/「溜め」のある社会へ

社会に「溜め」をつくるには…

 この本の前半部分は、貧困に対する自己責任論への反論が分かりやすく論じられている。

 後半部分は、“溜め”のある社会へと移行するにはどうすればいいか、そのために活動する「活動家」(市民)とはいったいどんなものなのか、といったことが論じられ、最後は作家の重松清さんとの対談で締め括っている。

 

どんとこい、貧困! (よりみちパン!セ)

どんとこい、貧困! (よりみちパン!セ)

 
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大野更紗『困ってるひと』/問題は「感動か笑いか」ではなく「存在の抹消」

 著者はある日、原因不明の難病におそわれる。

 大学院で「ビルマ難民」の研究をし、現地ビルマで活動中の頃だった…。

 

([お]9-1)困ってるひと (ポプラ文庫)

([お]9-1)困ってるひと (ポプラ文庫)

 

 

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「成功者たちにつけるクスリ」(ハーバート・サイモン 他)

自身の成功体験からほかの人々の人生を断罪するような物言いをしそうになってしまう、そんなこともあるいはあるかもしれない。もしそんなことがあれば、一息ついて思い出してほしい言葉がある。[ … ] 自己責任論に陥りそうになったら、このクスリを飲んでみていただけたらと思う。自分もたまに飲んでいる。

 

hirokimochizuki.hatenablog.com

 

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