おんざまゆげ

@スラッカーの思想

ジェンダー

エイジズム—若さを求めて老いを忌避する心性—

社会学者の上野千鶴子さんは下記のボーヴォワール『老い』を解説している本のなかで「老いる姿を隠すべきではない」と言っている。すごく重要な指摘だとおもう。 ボーヴォワール『老い』 2021年7月 (NHK100分de名著) 作者:上野 千鶴子 NHK出版 Amazon 社会の…

すべては生存権保障からはじまる—マルフェミの「物質的基盤」を例に—

「上野vs.江原」論争 上野千鶴子は昔も今もずっとマルクス主義フェミニズム(マルフェミ)の立場である。上野のマルフェミは「物質的基盤」を重視する。経済的な下部構造としての物質的基盤を無視するフェミニスト・アカデミシャンたちを上野は「文化派」とよ…

トランス女性とシス男性の性愛は異性愛か?——トランスジェンダーのセクシュアリティについて

GIとSOは分離できるか セクシュアルマイノリティの問題を一言で示そうとして使用された「LGBT」という括り方にはいろいろと問題があった。そのあとできた「SOGI」という括り方にも問題はある。ジェンダー・アイデンティティ(GI)とセクシュアル・オリエンテー…

トランス差別と「性という存在形式」—— サンディ・ストーンの“ポスト・トランスセクシュアル宣言”について

私たちは「見た目」で性別判断してしまう“クセ”がある トランスジェンダーを差別することは、容姿や見た目による差別と通底している。これは、年齢差別、女性差別、人種差別、障害者差別、ハンセン病差別などにも見いだせる。「見た目」から判断して分かるよ…

「家父長制(=家族主義)」から「親密圏(ジェンダー平等)」へ ——「資本の論理」に汚染されない場所が必要

「システム」と「生活世界」という区別がある。「システム」は「市場社会=等価交換の世界」に、「生活世界」は「親密圏=贈与の世界」に対応する。 具体的に言うならこうなる。家族的なホームから「行ってきます」と言って市場社会へと出撃し、労働者としてボ…

男性性と性的興奮——「政治的に正しい勃起」はありうるか?

【ヘテロ男性の性的興奮について】 ポルノグラフィ規制派でアメリカのラディカル・フェミニストであるキャサリン・マッキノンやアンドレア・ドウォーキンは、「異性愛者のセックスはすべて男性による強姦である」という強烈なテーゼを主張した。しかし一方で…

「強い当事者主義」問題——セクマイ問題の“ややこしさ”について

セクマイ問題はどうして“ややこしい”のか——。最近だったら社会学者の千田有紀さんが「トランス差別」に関するツイートで炎上した。のちに千田さんは『現代思想』(2020年)で『「女」の境界線を引きなおす—「ターフ」をめぐる対立を超えて』(=千田論文)を書い…

トランスフォビアとパス至上主義 —— セクシュアリティ・フェミニズム・クィア理論 (4)

今回はトランスセクシュアル(TS)に対する差別と、このTS差別(トランスフォビア)の根底にあると思われる本質主義的性別二元論(=パス至上主義)について考えてみたい。 TS(トランスセクシュアルの略)の問題系は、現存の性の制度に生きるすべての人の問題系で…

社会構築主義と「クィア存在」の可能性 —— セクシュアリティ・フェミニズム・クィア理論 (2)

前回は異性愛主義について論じた。要約すると以下のようになる。 異性愛主義(ヘテロセクシズム)は、性差別(セクシズム) —— 性差の階層秩序(女性差別)と性対象の階層秩序(同性愛差別) —— をつくりだし、この性差別のうえに支えられているのが異性愛主…

異性愛主義と性差別 —— セクシュアリティ・フェミニズム・クィア理論 (1)

今回は竹村和子さんの書籍(論文集や対談集)などをひもときながら「セクシュアリティ」について考えてみたいと思います。 すなわち [ヘテロ]セクシズムが、わたしの身体/精神の隅々までを構造化している … (竹村 2002:135) なぜ「セクシュアリティ」を問う…

生き延びるための読書計画 2019 — 労働・貧困・セクシュアリティ

「計画」と言っても適当です... 「生きづらさ」低減に向けた「生き延びるための読書」計画を立てました。計画といってもざっくりした大枠ですので、計画から逸れて他の分野に飛ぶかもしれません。 あと、一年間でやれるかどうかは私の精神的な気分・体調と自…

「あられもなさ」という性的快楽 —— なぜ、恋愛感情とセックスはつながるのか (2)

《 概要 》 セクシュアリティにかんする問題は本ブログのテーマの一つである。*1 恋愛感情とセックスの関係については以下の記事で詳しく論じたのだが、今回はこの話のつづきである。*2 tunenao.hatenablog.com *1: セクシュアリティは重要なテーマである...…

白石一文『私という運命について』/「ほんとうに不幸なのは出産できない女性」?

2005年に出版された白石一文さんの長編小説。2014年にはWOWOWにてドラマ化もされました。 【内容】 大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康との別離後、彼の母親から手紙を…

『性の弁証法 —— 女性解放革命の場合』/革命としてのフェミニズム(シュラミス・ファイアストーン Shulamith Firestone)

著者の経歴と本書の内容 今回紹介する本はシュラミス・ファイアストーン [ Shulamith Firestone ] が著した『性の弁証法』。副題は「女性解放革命の場合」です。ファイアストーンは1945年カナダ・オタワに生まれ、大学では美術の学位を取得。その後、画家と…

さだまさし・フェミニズム・天皇制 —— 山口百恵『秋桜』について

『秋桜』(コスモス)とは…? 1977年にリリースされた山口百恵の19枚目のシングル。作詞・作曲はさだまさし。 youtu.be

なぜ「恋愛感情」と「セックス」はつながるのか——アセクシュアルからみた「好き」と「ベロベロ」について

セクシュアリティに関しての一つの疑問を考えてみたい。 疑問とは「なぜ、恋愛感情とセックスは結びつくのか」である。 まず「恋愛感情を持つ」というレベルにおいて「持たない~持つ」までの間のスペクトル(強弱)がある。次に「セックスしたい」というレ…

『男と女の友人主義宣言―恋愛・家族至上主義を超えて』/労働・恋愛結婚・モテ幻想から「男を救う」ために

著者の佐藤和夫さんは哲学やジェンダー論が専門の学者で、有名な著作に『仕事のくだらなさとの戦い』がある。これは「労働至上主義」を批判した本であるが、今回の本では「恋愛・家族至上主義」を批判している。 資本主義社会を支えている二つの至上主義(労…

【漫画】倉田嘘『百合男子』/百合に命を懸ける男

一見イケメンな眼鏡男子高生・花寺啓介。普通に彼女とかいそうな彼なのだが、その正体は、少女同士の恋愛を主に描いた“百合”に萌えてしまう“百合男子”だったのだ・・・!! 百合が好きだ。しかしそこに男である自分は存在しない・・・いや、してはならない!! そんな…

高野和明『ジェノサイド』/人間 vs.超人間

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。 …

試しに観てみた百合アニメ『ささめきこと』

自分自身の「百合性」を確かめたいがために、今夏はいろいろと百合作品を物色しました。 結果は「それほど百合男子ではなかった…」というオチでしたが、それでも面白い作品が幾つかありました。今回はアニメ『ささめきこと』を観た感想を書いてみたいと思い…

『花のもとにて』(堀田あけみ)

花のもとにて (角川文庫) 作者: 堀田あけみ 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2000/01 メディア: 文庫 クリック: 7回 この商品を含むブログ (5件) を見る 「BOOK」データベースより ひそかに憧れていた先輩・大沢を追って、同じ心理学の大学院に入学した響…

『号泣する準備はできていた』(江國香織)

号泣する準備はできていた (新潮文庫) 作者: 江國香織 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/06/28 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 49回 この商品を含むブログ (165件) を見る

幼児を見て「かわいい」と言っただけで「ペドフィリア疑惑(ロリコン)」認定されかねない…(男ってめんどくせぇ…)

●「うな子」は論外だが… wotopi.jp 「博報堂」の担当者は「動画はうなぎを天然水でストレスがかからないように大切に育てているということを一番に伝えたかったもので、性的なものをイメージさせる意図はまったくありませんでした。