おんざまゆげ

"感受性マイノリティ男子"がつづる日々の雑記・雑感… 読書、映画、アニメの感想など。

雑記

「あられもなさ」という性的快楽 —— なぜ、恋愛感情とセックスはつながるのか (2)

《 概要 》 セクシュアリティにかんする問題は本ブログのテーマの一つである。*1 恋愛感情とセックスの関係については以下の記事で詳しく論じたのだが、今回はこの話のつづきである。*2 tunenao.hatenablog.com *1: セクシュアリティは重要なテーマである...…

『経済成長がすべてか? — デモクラシーが人文学を必要とする理由』/ 「ディーセントな人間」になるために

著者である「マーサ・ヌスバウム教授」の経歴 アメリカのシカゴ大学教授で女性哲学者。専門はアリストテレス研究だが、哲学以外にも古典学、政治哲学、法哲学、教育学、フェミニズムなど多数の著作があり、幅広い分野で活躍している。2016年には京都賞を受賞…

『いのちの食べかた』森達也/まずは「知ること」が大切!

本書は2005年に刊行された「よりみちパン!セ」という有名なシリーズの一冊。 *1 いのちの食べかた (よりみちパン!セ) 作者: 森達也 出版社/メーカー: 理論社 発売日: 2004/11/19 メディア: 単行本 購入: 20人 クリック: 461回 この商品を含むブログ (185件)…

【映画】『あの子を探して』/責任や義務ではなく、愛ゆえに...

1999年製作の中国映画。監督はチャン・イーモウ。一切のプロの俳優を使わず素人だけを起用して製作したユニークな映画である。1999年ベネチア映画祭で金獅子賞を受賞。 あの子を探して [DVD] 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D) 発売日: 2015/09/02 メディア:…

【小説】白石一文『私という運命について』/「ほんとうに不幸なのは出産できない女性」?

2005年に出版された白石一文さんの長編小説。2014年にはWOWOWにてドラマ化もされました。 【内容】 大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康との別離後、彼の母親から手紙を…

『性の弁証法 —— 女性解放革命の場合』/革命としてのフェミニズム(シュラミス・ファイアストーン Shulamith Firestone)

著者の経歴と本書の内容 今回紹介する本はシュラミス・ファイアストーン [ Shulamith Firestone ] が著した『性の弁証法』。副題は「女性解放革命の場合」です。ファイアストーンは1945年カナダ・オタワに生まれ、大学では美術の学位を取得。その後、画家と…

小椋佳『シクラメンのかほり』について —— 隠された「愛する人への想い」

『シクラメンのかほり』とは?... 1975年4月に布施明さんのシングル曲としてリリースされた名曲。 作詞・作曲は小椋 佳。編曲は萩田光雄。 www.youtube.com 歌詞はこちらにあります。 シクラメンのかほり 布施明 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索

さだまさし・フェミニズム・天皇制 —— 山口百恵『秋桜』について

『秋桜』(コスモス)とは…? 1977年にリリースされた山口百恵の19枚目のシングル。作詞・作曲はさだまさし。 youtu.be

「強さ」というイデオロギー —— 精神的に生きづらいのは「心が弱い」からなのか

生きづらさや精神的なつらさを訴えることは「弱音を吐く」(意気地がない)ということになるのでしょうか。あるいは、自死する人やうつ病になる人は「心が弱い」ということになるのか。今回はそういうことについて一考してみたいと思います。

【小説】『ベロニカは死ぬことにした』/ 現実的な「異世界転生」への道

【内容】 ベロニカは全てを手にしていた。若さと美しさ、素敵なボーイフレンドたち、堅実な仕事、そして愛情溢れる家族。でも彼女は幸せではなかった。何かが欠けていた。 ある朝、ベロニカは死ぬことに決め、睡眠薬を大量に飲んだ。だが目覚めると、そこは…

【映画】1月に観た映画の感想(22作品)

年末年始・正月休みにいつもよりたくさんの映画を観たので、ざっくり感想レビューを書いてみました。 ちなみに私は映画館には行きません。映画はすべてDVDとかAmazonなどの動画配信サービスを利用しています。そして、評価がある程度定まっている映画を重点…

「生まれてこない方がよかった」/デイヴィッド・ベネターの誕生否定と反出生主義

今回はデイヴィッド・ベネターの主著『生まれてこない方が良かった —— 存在してしまうことの害悪』で展開されている「反出生主義」について考えてみたい。 反出生主義 「子どもを生むべきではない」 反出生主義と出生主義 ベネターの立場 「客観主義・功利主…

「私が語れること」について。

世間的に大きな事件があって犯人が逮捕されたとき、「A容疑者」という報道がなされ、テレビなどのメディアではそのA容疑者についてああだこうだと言い立てるようになる。 〈私が語れること〉 私はある時から、何かについて語れることがあるとしたら、それは…

内なる差別感情/「障害者になりたくない」という差別心について

「障害」は嫌だ 「目が見えるのと、目が見えないのと、どちらがいいですか?」と言われたら、私は「目が見える方がいい」と答える。目が見えなくなるのは端的に「嫌だ」と思う。その方が不便だからだ。 「目が見えないのは嫌だ」(目が見える方がいい)と答…

「良心なき善良な人」/スノーデンとアイヒマンのはざまで

“リョウシン”ちがい 先生:「その問題は君の“良心”に従って決めるしかない…。私がとやかく言えるような問題じゃないよ。」 生徒:「そんな… 私はもう“両親”なんかに従いたくありません…。ずっと我慢してきたんですから…。」 上司:「君はそれでいいと思うの…

なぜ「恋愛感情」と「セックス」はつながるのか——アセクシュアルからみた「好き」と「ベロベロ」について

セクシュアリティに関しての一つの疑問を考えてみたい。 疑問とは「なぜ、恋愛感情とセックスは結びつくのか」である。 まず「恋愛感情を持つ」というレベルにおいて「持たない~持つ」までの間のスペクトル(強弱)がある。次に「セックスしたい」というレ…

加藤尚武『災害論 — 安全性工学への疑問 —』/「復興」には義務を超えた倫理が必要

哲学者 加藤尚武さんの「災害」(主に原発事故)に関する本。 災害論―安全性工学への疑問― (世界思想社現代哲学叢書) 作者: 加藤尚武 出版社/メーカー: 世界思想社 発売日: 2011/10/18 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 1人 クリック: 27回 この商品…

優生思想を生みだす幸福論/能動態的幸福の世界

何でもないような事が 幸せだったと思う 何でもない夜の事 二度とは戻れない夜 『ロード』(THE 虎舞竜)の有名な一節。 ちなみに「ロード」には第十三章まであるらしい(全部聴いたことはない)。 壮大な世界観である。 「何でもないようなこと」を後から振…

ブラック部活批判の矛盾した論理——真由子先生の部活批判について/「内藤朝雄」論(3)

私は社会学者の内藤朝雄さん(以下敬称略)の『いじめの社会理論』『いじめの構造』を読んで以来、熱烈な支持者(内藤論者)になった。 前々回は内藤の「中間集団全体主義」について簡単に触れ、前回は「なぜ内藤は教育関係者からスルーされるのか」について…

われらは『涙と笑いのハッピークラス』を否定する——中間集団全体主義が生みだす感動と残酷について/「内藤朝雄」論(2)

私は社会学者の内藤朝雄さん(以下敬称略)の『いじめの社会理論』『いじめの構造』を読んで以来、熱烈な支持者になった。内藤の「いじめの理論」=「中間集団全体主義」論についての大まかな要約は前回述べた。 いじめの社会理論―その生態学的秩序の生成と…

「上から目線」という「上から目線」…

自分は偉そうに物申しているのではないか…。 「上から目線」で物を言っているのではないか…。 そうやって過度に気にする人がいる。 逆に、「偉そうに言うな」とか「上から目線で言うな」と文句を言う人達がいる。 そのような人たちは高橋源一郎さんの「威張…

人間が怪物になるしくみ/「内藤朝雄」論(1)

「いじめの社会理論」(=中間集団全体主義) 私は社会学者の内藤朝雄さん(以下敬称略)を熱烈に支持している。『いじめの社会理論』や『いじめの構造』を読んで以来、完全に「内藤朝雄」論者になった。 内藤が提示した「いじめの社会理論」(=中間集団全…

みんなが「松岡修造のような人(MSH)」になんてなれない!/ブラック企業・部活動・就活と「人間力=MSH規格」の関係

〈 日本社会を生きづらくするMSH規格 〉 教育社会学者の本田由紀さんが提唱したハイパー・メリトクラシー(=人間力)を最も体現している人物モデルは「松岡修造のような人(MSH)」であると思う。 学校共同体はMSHをつくりだそうとしており、会社共同体はMSH…

「いじめられる側も悪い」という論理/原因・失敗と責任について

「いじめられる側にも非がある」 いじめ問題について議論しているときに今でもよく語られる「いじめられる側にも原因がある」とか「いじめられる側にも悪い点がある」といった「ぶっちゃけ」論。 彼らはなぜそのような論理を取るのだろう。 lite-ra.com

「いじめ自殺」について/「学校は死にたくなるような気持ちを抱えてまで行かなければならない場所ではない」

「魔の夏休み明け」 おそらく「魔の週末明け(月曜日の憂鬱)」の比ではない「魔の夏休み明け」が近づいています。子ども(特に小学生)にとって夏休みとは「お祭り期間(ハレ)」のようなもの。あの憂鬱な日常には戻りたくない。しかも「学校的日常」なんか…

「すべての生が無条件に承認される社会」へ向けて——「生きづらさ」についての雑記(3)

今回は「生きづらさ」と「承認」の問題を考えてみようと思います。 前半では「承認と生きづらさの関係」「承認と自尊の関係」を考えます。 後半では「ただ生きているだけで生が否定されてしまう社会構造」を批判的に問題にし、それにかわる「すべての生が無…

阿部 彩『弱者の居場所がない社会——貧困・格差と社会的包摂』/すべての人が包摂される「ユニバーサル・デザイン社会」

「社会的包摂」政策にかんする入門書 「社会的包摂」とは、(1)社会にビルトインされた「社会的排除」のメカニズムを明らかにし、(2)社会的排除のメカニズムを停止・失効させたうえで、(3)誰もが社会の中に包みこまれながら無理なく生きられる社会を…

本田由紀『軋む社会 教育・仕事・若者の現在』/「社会は、変えられる」

あらゆる媒体に寄稿された文章をまとめたもの。 その中身は教育社会学者らしいデータ重視の固めの論文から軽いタッチでドラえもん批判を展開するエッセー風のものまで幅広いスタイルで書かれている。 そのほかに阿部真大さん(『搾取される若者たち―バイク便…

本田由紀『若者の労働と生活世界——彼らはどんな現実を生きているか』/若者が直面するツライ現実

本田由紀さん編集の論文集。 編集構成は、前半では若者を取り巻く社会環境の変化についての総論的な分析がなされ、それをうけて後半では「若者と労働」、「若者の生活世界」という二つの各論分析がなされている。 … 若者が抱える苦しみや豊かさが、“われわれ…

芹沢俊介『引きこもるという情熱』『「存在論的ひきこもり」論』/「ある自己」と「する自己」

引きこもり現象を全面肯定した画期的「引きこもり」論。 引きこもるという情熱 作者: 芹沢俊介 出版社/メーカー: 雲母書房 発売日: 2002/05 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (15件) を見る