おんざまゆげ

@スラッカーの思想

生存権

「なにもしてないのに偉そうに言うな!」というアクティヴィズム・マウントについて

「そのように批判してばかりいるあなたは実際になにをやったんですか? 現場をしらないあなたになにがわかるんですか?」── 書き言葉や話し言葉による言説によって批判ばかりしているひとにはその論法はおなじみとなっている。「おまえは批判ばかりしてなに…

排除と搾取のメカニズム──資本主義から自由になるための条件

資本主義は概ね(1)「賃労働で所得を獲得できないと生活できない」という世界をつくったうえで、 (2)「賃労働者から搾取する」ことによって成り立っている。マルクスは搾取される賃労働者の階級を革命主体と捉えたが、逆に「働かない者たち」(ルンペン・プロ…

公助が必要な理由——『イラクの子 ふたりのアリの悲劇』からわかった支援格差の現実と「日本社会の劣等性」——

イラク戦争の最中、米軍の爆撃により運命を変えられたふたりの子ども。偶然にもアリという同じ名前を持ち、同じ病院で治療を受けたふたりの子どもの惨劇を通して、イラク戦争が罪のない一般のイラク人にもたらした辛い現実を描いたドキュメンタリー。 バグダ…

生存は抵抗である—「無能な存在者」が無能なまま生き延びるための二段階戦略—

われわれは国にたいして生存権保障を要求する 以下の記事では「戦争=国民国家」と「優生思想=福祉国家」の関係性について述べた。 tunenao.hatenablog.com 国家にたいして生存権保障を要求する場合、つぎのような懸念がある。 優生思想や能力主義の差別性を…

勤労主義は平和主義と両立しない—戦争・福祉国家・優生思想—

社会権は自由権に優先する わたしは「すべては生存権保障からはじまる」と思っている。これを一口でいうなら〈近代的な立憲民主主義の自由主義思想において、人権保障の大前提は(個人の幸福追求権を含めた)市民的自由権よりも、生存権を含めた社会権のほうを…

すべては生存権保障からはじまる—マルフェミの「物質的基盤」を例に—

「上野vs.江原」論争 上野千鶴子は昔も今もずっとマルクス主義フェミニズム(マルフェミ)の立場である。上野のマルフェミは「物質的基盤」を重視する。経済的な下部構造としての物質的基盤を無視するフェミニスト・アカデミシャンたちを上野は「文化派」とよ…

阿部 彩『弱者の居場所がない社会——貧困・格差と社会的包摂』/すべての人が包摂される「ユニバーサル・デザイン社会」

「社会的包摂」政策にかんする入門書 「社会的包摂」とは、(1)社会にビルトインされた「社会的排除」のメカニズムを明らかにし、(2)社会的排除のメカニズムを停止・失効させたうえで、(3)誰もが社会の中に包みこまれながら無理なく生きられる社会を…