スラッカー
生物としての動物は、一日中なにもせずにじっとしていても呼吸をしているかぎり必ずエネルギーを消費する。これは生命活動を維持するための必要最小限のエネルギー(基礎代謝)であり、ヒトの場合一日約1400kcal 必要になる。もし、基礎代謝以上のエネルギー…
三宅香帆 著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書,2024年)を読んだので、以下でその要約と異論を述べたいと思う。 簡単に要約すると、働いていると本が読めなくなるのは、日本の雇用システムがいまだに長時間労働(全身全霊で働く社会)だから…
なぜ日本社会は生きづらいのか──。 以下では日本の絶望的なデータを示しながらごくシンプルに考えてみたい。結論からいうと、日本社会の生きづらさは家族主義的男性稼ぎ主モデル(=日本的生活保障システム)のシステム障害から生じているとおもわれる。この日…
保護司 制度を題材にした映画 最近、映画『前科者』(2022年公開)を観たせいか「更生保護」という分野について考えている。とくに更生保護の一角を担う「保護司制度」。この制度は日本独特であり、国家公務員であるにもかかわらず無償労働になっている。いま…
最近、『ハッピークラシー――「幸せ」願望に支配される日常』(みすず書房,2022年)を読んでいて、はたと気づかされたことがある。それはその本の原注 p16(第二章 脚注60)に書かれていたのだが、概ね次のような指摘である。社会が生きづらくなればなるほど自己…
このへんではっきりさせておきたいから書く。わたしは堕落主義者に与したくない。怠惰は推奨するが堕落は拒絶する。 堕落とは自分の利益や幸福のことしか考えない非政治的でシニカルな心の習慣である。一方、怠惰(スラッカー)とは堕落傾向を阻止するために勤…
『あなたを大切にしてくれない場所にいてはいけない』。そしてそれが『人が生きる上で、一番くらいに大切なことだと思う』 「あなたを大切にしてくれない場所にいてはいけない」というメッセージ。の巻(雨宮処凛) 日本の「勤労」という概念をそれなりに調…
われわれは国にたいして生存権保障を要求する 以下の記事では「戦争=国民国家」と「優生思想=福祉国家」の関係性について述べた。 tunenao.hatenablog.com 国家にたいして生存権保障を要求する場合、つぎのような懸念がある。 優生思想や能力主義の差別性を…
個人や社会のあらゆる悲惨さは、労働への情熱から生まれる(ラファルグ) なぜ、かくも労働は道徳と結びつき「勤労」(労働への情熱!)となったのか。この二つの結合こそが私たちの労働にまつわる生きづらさの正体である。 「スラッカー」(怠惰主義)は、労働…
ニート≒スラッカー スラッカー(slacker)という概念は日本ではほとんど定着していない言葉だ。スラッカーは「怠け者」「怠惰なひと」「何もしてないひと」「義務や責任を回避しているひと」「徴兵回避者」「働かないひと」「勤労意欲に乏しいひと」...等々の…
TVドラマ「裸の大将」とは《画家の山下清をモデルに描いた人間ドラマ》である。(裸の大将放浪記)。1980年〜97年までフジTV系列で放映され、主演の芦屋雁之助の熱演(はまり役)もあって人気ドラマであった。ダ・カーポが歌う主題歌『野に咲く花のように』が流…