おんざまゆげ

@スラッカーの思想

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「生まれる自由」という幻想

主観主義の立場に立つかぎり、生む側と生まれる側の非対称性は厳として存在する。しかし、ここから〈生む側には「生む/生まない」の選択肢があるが、生まれる側には「生まれる/生まれない」の選択肢はない。生まれる側は「生まれたい」と思ったわけではな…

「ずるさ」を許せない!——「幼稚な道徳感情」と「ネトウヨの精神」

「ずるさ」を許せない! 「日本人は行列にちゃんと並ぶすばらしい国民である!」 外国から称賛される「日本人すごいぞ」論の定番になっている。たしかに割り込みはずるい。ずるはよくないのだ。 しかし、裏返せば日本は「割り込み」に厳しい国だということに…

生存は抵抗である—「無能な存在者」が無能なまま生き延びるための二段階戦略—

われわれは国にたいして生存権保障を要求する 以下の記事では「戦争=国民国家」と「優生思想=福祉国家」の関係性について述べた。 tunenao.hatenablog.com 国家にたいして生存権保障を要求する場合、つぎのような懸念がある。 優生思想や能力主義の差別性を…

勤労主義は平和主義と両立しない—戦争・福祉国家・優生思想—

社会権は自由権に優先する わたしは「すべては生存権保障からはじまる」と思っている。これを一口でいうなら〈近代的な立憲民主主義の自由主義思想において、人権保障の大前提は(個人の幸福追求権を含めた)市民的自由権よりも、生存権を含めた社会権のほうを…

すべては生存権保障からはじまる—マルフェミの「物質的基盤」を例に—

「上野vs.江原」論争 上野千鶴子は昔も今もずっとマルクス主義フェミニズム(マルフェミ)の立場である。上野のマルフェミは「物質的基盤」を重視する。経済的な下部構造としての物質的基盤を無視するフェミニスト・アカデミシャンたちを上野は「文化派」とよ…