おんざまゆげ

@スラッカーの思想

2016-01-01から1年間の記事一覧

「人生の意味」と「人生の不条理」ー死についての雑記(3)了

「あなたはなぜ、生きるのか」 「あなたはなぜ、生まれてきたのか」 「あなたはなぜ、死ななければならないのか」 「あなたはなぜ、死ななければならないのに生きるのか」 「あなたはなぜ、死ななければならないのに生まれてきたのか」 そのような問いかけや…

死はなぜ悪なのか?― 「死」についての雑記(2)

なぜ、死んでしまうことは「悪い」ことなんでしょうか。 これは明らかに馬鹿げた問いであるように思います。 死んでしまうことが悪いことなのは、あらためて問うまでもなく自明であると思われます。しかし、そこで想定されているのは二人称(あなた)の死や…

「死」と人称性——「死」についての雑記(1)

1.死と人称性 一人称(私)、二人称(あなた)、三人称(他人・彼)。 これらの人称性の違いによって死の意味が変わってきます。 では、どのような違いがあるのか。 以下ではその違いを考えてみます。

【映画】『冷たい熱帯魚』/狂気の「でんでん」、覚醒する「吹越」。そして人生は痛い!

あらすじ 「紀子の食卓」「愛のむきだし」の園子温監督が、当時マスコミを賑わせた“埼玉愛犬家殺人事件”をベースに、ふとしたはずみから極悪非道な男に取り込まれ、後戻りの出来ない深い闇の世界へと落ちていく主人公の姿を、ブラックユーモアを散りばめつつ…

白石一文『ほかならぬ人へ』/「嗅覚恋愛」という新機軸

【あらすじ】 二十七歳の宇津木明生は、財閥の家系に生まれた大学教授を父に持ち、学究の道に進んだ二人の兄を持つ、人も羨むエリート家系出身である。しかし、彼は胸のうちで、いつもこうつぶやいていた。「俺はきっと生まれそこなったんだ」。 サッカー好…

「エコロジカルな自己」とは何か/河野哲也『〈心〉はからだの外にある——「エコロジカルな私」の哲学』

「性格」なんてナンセンス 脱スピリチュアル宣言! 自分探しの正しいあり方を明らかにする デカルト的発想を覆す 〈心〉とは、自己の内に閉ざされたプライベートな世界なのか? 環境と影響しあうエコロジカルな〈心〉という清新な視点から、他者や社会と生き…

「個性」についての雑記

「個性」という言葉はいろんな意味で使用されています。たとえば「個性を伸ばす教育」とか「個性的な人」とか「障害は個性だ」*1…など。 あるいは、金子みすずさんの有名な詩『私と小鳥と鈴と』の「みんなちがってみんないい」とか『世界に一つだけの花』の…

【映画】『森崎書店の日々』/失恋した女性が「古本」に癒やされ立ち直る!

世界一の本の街“神田神保町”を舞台にした同名短編を基に、失恋の痛みを抱え、ひょんなことから古書店に居候することになったヒロインが、奥深い本の世界と接することで少しずつ心の傷を癒やし成長していく姿を綴るハートフル・ドラマ。主演はモデルとして活…

高野和明『ジェノサイド』/人間 vs.超人間

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。 …

【読書好き】マニアチェックリスト(人文社会系 編)

1.本屋にいると落ち着く・安心する・ずっといたいと思う。 2.図書館に住みたいと今でも思う。 3.図書館の近くに住みたいと思って物件を探したことがある。 4.図書館から絶版本を取り寄せたことがある。 5.復刊ドットコムで絶版本をリクエストした…

島本理生 『よだかの片想い』/24歳理系女子の不器用で一途なファーストラブ

左の目から頬にかけてアザがある理系女子大生の前田アイコ。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから…

【映画】『アジョシ』/謎めきすぎる無敵おじさん(ウォンビン)が大活躍!

これが「母なる証明」に次いで復帰2作目となるウォンビンが、ハードなアクションで新境地を見せるサスペンス・アクション。ウォンビン扮する謎めいた近所のおじさん(アジョシ)が、掠われた少女を助けるべく巨大な犯罪組織に敢然と立ち向かう姿を、孤独な…

【映画】『カリフォルニア』/ブラピ史上最大にかっこいいブラピ

白石一文『僕のなかの壊れていない部分』/「死」や「生」について思索する恋愛小説

出版社に勤務する29歳の「僕」は3人の女性と同時に関係を持ちながら、その誰とも深い繋がりを結ぼうとしない。一方で、自宅には鍵をかけず、行き場のない若者2人を自由に出入りさせていた。常に、生まれてこなければよかった、という絶望感を抱く「僕」は驚…

【映画】『ラブ&ピース』(園子温 監督)/長谷川博己さんのふざけた演技がいい!

「冷たい熱帯魚」「地獄でなぜ悪い」の園子温監督が奇想天外なストーリー展開で描く笑いと感動の痛快エンタテインメント・ムービー。冴えない主人公が一匹のミドリガメとの運命的な出会いを境に、起死回生のスター街道を驀進していく中で繰り広げられる壮大…

【映画】『カケラ』(安藤モモ子 監督)/恋愛の対象に男か女かなんて関係ない!

父・奥田瑛二監督作などで現場経験も積んできた安藤モモ子が、人気少女漫画家・桜沢エリカのコミックを原作に記念すべき監督デビューを飾ったガールズ・ムービー。満たされない気持ちを抱えていたヒロインが、対照的な女性と出会い、葛藤しながら成長してい…

【映画】『恋愛小説家』/恋愛経験ゼロの「恋愛小説家」が「最貧困シングルマザー」に恋に落ちる!超難度な純愛ラブストーリー

第55回ゴールデン・グローブ賞で主要3部門に輝いた、ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント共演の恋愛ドラマ。偏屈で嫌われ者のベストセラー作家と、バツイチで子持ちのウェイトレスが織りなす不器用な恋を、さりげないユーモアを交えて描く。 誰かれ構わず…

【映画】『ROOM 237』/『シャイニング』に取り憑かれた深読みマニアたち

スティーヴン・キングの原作を基に、巨匠スタンリー・キューブリック監督が1980年に手がけた伝説的ホラー映画「シャイニング」。そこには天才キューブリックが仕掛けた様々な謎が隠されているといわれる。 そして、その謎を解き明かそうと深読みして楽しむの…

伊藤計劃『ハーモニー <harmony/> 』/魂のために、魂のない世界を作るー逆説の救済思想

「大災禍」と呼ばれる世界規模の混沌から復興した世界。かつて起きた「大災禍」の反動で、世界は極端な健康志向と社会の調和を重んじた、超高度医療社会へと移行していた。 そんな優しさと慈愛に満ちたまがい物の世界に、立ち向かう術を日々考えている少女が…

【映画】『Blue』(原作 魚喃キリコ)/ウブっ子とマセっ子の青春ガール・ミーツ・ガール

海辺の街にある女子高を舞台に、思春期の女子高生の淡く切ない体験を繊細に描いた青春ドラマ。漫画家・魚喃キリコの同名コミックを「dead BEAT」の安藤尋監督が、「とらばいゆ」の市川実日子主演で映画化。共演は「阿弥陀堂だより」の小西真奈美。これが映画…

【映画】『スクールガール・コンプレックス~放送部篇~』/写真集から生まれた青春Love百合映画

女子高生たちの日常をフェティッシュな少年の視点でとらえた写真集『スクールガール・コンプレックス』を原案とする青春ガールズムービー。監督は「nude」「真・兎 野性の闘牌」の小沼雄一、脚本は「童貞放浪記」「モンゴル野球青春記」の足立紳。主演は雑誌…

日本文学 110選 Part5(2000〜2005年)

『日本文学にみる純愛百選』から「2000〜2005年」の作品を紹介します。 「秘事」 河野多惠子(こうの・たえこ) 2000 大学卒業後すぐに結婚する三村清太郎と麻子。総合商社に入った清太郎は順調に出世し、夫婦仲も円満で、子や孫にも恵まれる。完璧な順風満…

日本文学 110選 Part4(1987〜1999年)

『日本文学にみる純愛百選』から「1987年〜1999年」の作品を紹介します。 「どんなご縁で」 耕治人(こう・はると) 1987 長きにわたり夫を助けてきた80歳の老妻が、老人性痴呆症を示し始める。世話をするのは、これもまた80歳の老夫。経済的余裕もなければ…

日本文学 110選 Part3(1971〜1983年)

『日本文学にみる純愛百選』から「1971年〜1983年」の作品を紹介します。 「どくろ杯」 金子光晴(かねこ・みつはる) 1971 1928年から32年に及ぶ、妻、森三千代を伴った、アジア、ヨーロッパ漂泊を回想した自伝三部作の第一作。上海、ジャカルタ等における…

日本文学 110選 Part2(1946〜1970年)

『日本文学にみる純愛百選』から「1946年〜1970年」までの作品を紹介します。 「柳橋物語」 山本周五郎(やまもと・しゅうごろう) 1946 たったひとことの「口約束」がもとで、悲運においやられてしまった少女――相次ぐ“災い”に翻弄される江戸庶民の一途な愛…

日本文学 110選 Part1(明治〜1941年)

前回紹介した『日本文学にみる純愛百選』より 「明治期から1941年」までの作品を紹介します。(殆どの作品がKindleで無料ダウンロード可能です) 「たけくらべ」 樋口一葉(ひぐち・いちよう) 1896 吉原の伎楼の養女美登利と龍華寺の住職の息子信如。二人の…

『日本文学にみる純愛百選』(芳川泰久監修)

日本文学にみる純愛百選 zero degree of 110 love sentence 作者: 芳川泰久,江南亜美子,荻野哲矢,駿河昌樹,高頭麻子,十重田裕一,三ッ堀広一郎,望月旬,山崎敦,和久田頼男 出版社/メーカー: 早美出版社 発売日: 2007/03/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) …

【アニメ】『花とアリス殺人事件』(岩井俊二 監督)

史上最強の転校生、アリス。史上最強のひきこもり、花。 二人が出逢ったとき、世界で一番小さな殺人事件が起こった。 石ノ森学園中学校へ転校してきた中学3年生の有栖川徹子は、一年前に3年1組で「ユダが、四人のユダに殺された」という噂を聞く。 さらに…

【アニメ】『たまこまーけっと』/『たまこラブストーリー』(京都アニメーション)

たまこまーけっと Blu-ray BOX(初回限定生産) 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2015/03/18 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (6件) を見る 映画「たまこラブストーリー」 [Blu-ray] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2014/10/10…

【アニメ】『青い花』(志村貴子先生)

もし私の好きな人が女の子だったらどうする? 少女たちの揺れる心情を描く、繊細で上質な恋物語… 「マンガ・エロティクス・エフ」にて連載中の志村貴子先生が描く「青い花」は、女の子同士の恋愛と友情を繊細なタッチで描いた清冽で愛おしい恋物語。 (アマゾ…