おんざまゆげ

"感受性マイノリティ男子"がつづる日々の雑記・雑感… 読書、映画、アニメの感想など。

生きづらさ

「あられもなさ」という性的快楽 —— なぜ、恋愛感情とセックスはつながるのか (2)

《 概要 》 セクシュアリティにかんする問題は本ブログのテーマの一つである。*1 恋愛感情とセックスの関係については以下の記事で詳しく論じたのだが、今回はこの話のつづきである。*2 tunenao.hatenablog.com *1: セクシュアリティは重要なテーマである...…

【小説】白石一文『私という運命について』/「ほんとうに不幸なのは出産できない女性」?

2005年に出版された白石一文さんの長編小説。2014年にはWOWOWにてドラマ化もされました。 【内容】 大手メーカーの営業部に総合職として勤務する冬木亜紀は、元恋人・佐藤康の結婚式の招待状に出欠の返事を出しかねていた。康との別離後、彼の母親から手紙を…

「強さ」というイデオロギー —— 精神的に生きづらいのは「心が弱い」からなのか

生きづらさや精神的なつらさを訴えることは「弱音を吐く」(意気地がない)ということになるのでしょうか。あるいは、自死する人やうつ病になる人は「心が弱い」ということになるのか。今回はそういうことについて一考してみたいと思います。

【小説】『ベロニカは死ぬことにした』/ 現実的な「異世界転生」への道

【内容】 ベロニカは全てを手にしていた。若さと美しさ、素敵なボーイフレンドたち、堅実な仕事、そして愛情溢れる家族。でも彼女は幸せではなかった。何かが欠けていた。 ある朝、ベロニカは死ぬことに決め、睡眠薬を大量に飲んだ。だが目覚めると、そこは…

「生まれてこない方がよかった」/デイヴィッド・ベネターの誕生否定と反出生主義

今回はデイヴィッド・ベネターの主著『生まれてこない方が良かった —— 存在してしまうことの害悪』で展開されている「反出生主義」について考えてみたい。 反出生主義 「子どもを生むべきではない」 反出生主義と出生主義 ベネターの立場 「客観主義・功利主…

【小説】窪 美澄『よるのふくらみ』/肉食女子と草食男子の恋愛は、予想通りの結末に…… 愛は性欲を越えない!

その体温が、凍った心を溶かしていく。29歳のみひろは、同じ商店街で育った幼なじみの圭祐と一緒に暮らして2年になる。もうずっと、セックスをしていない。焦燥感で開いた心の穴に、圭祐の弟の裕太が突然飛び込んできて……。『ふがいない僕は空を見た』の感動…

優生思想を生みだす幸福論/能動態的幸福の世界

何でもないような事が 幸せだったと思う 何でもない夜の事 二度とは戻れない夜 『ロード』(THE 虎舞竜)の有名な一節。 ちなみに「ロード」には第十三章まであるらしい(全部聴いたことはない)。 壮大な世界観である。 「何でもないようなこと」を後から振…

ブラック部活批判の矛盾した論理——真由子先生の部活批判について/「内藤朝雄」論(3)

私は社会学者の内藤朝雄さん(以下敬称略)の『いじめの社会理論』『いじめの構造』を読んで以来、熱烈な支持者(内藤論者)になった。 前々回は内藤の「中間集団全体主義」について簡単に触れ、前回は「なぜ内藤は教育関係者からスルーされるのか」について…

われらは『涙と笑いのハッピークラス』を否定する——中間集団全体主義が生みだす感動と残酷について/「内藤朝雄」論(2)

私は社会学者の内藤朝雄さん(以下敬称略)の『いじめの社会理論』『いじめの構造』を読んで以来、熱烈な支持者になった。内藤の「いじめの理論」=「中間集団全体主義」論についての大まかな要約は前回述べた。 いじめの社会理論―その生態学的秩序の生成と…

人間が怪物になるしくみ/「内藤朝雄」論(1)

「いじめの社会理論」(=中間集団全体主義) 私は社会学者の内藤朝雄さん(以下敬称略)を熱烈に支持している。『いじめの社会理論』や『いじめの構造』を読んで以来、完全に「内藤朝雄」論者になった。 内藤が提示した「いじめの社会理論」(=中間集団全…

みんなが「松岡修造のような人(MSH)」になんてなれない!/ブラック企業・部活動・就活と「人間力=MSH規格」の関係

〈 日本社会を生きづらくするMSH規格 〉 教育社会学者の本田由紀さんが提唱したハイパー・メリトクラシー(=人間力)を最も体現している人物モデルは「松岡修造のような人(MSH)」であると思う。 学校共同体はMSHをつくりだそうとしており、会社共同体はMSH…

「いじめられる側も悪い」という論理/原因・失敗と責任について

「いじめられる側にも非がある」 いじめ問題について議論しているときに今でもよく語られる「いじめられる側にも原因がある」とか「いじめられる側にも悪い点がある」といった「ぶっちゃけ」論。 彼らはなぜそのような論理を取るのだろう。 lite-ra.com

「いじめ自殺」について/「学校は死にたくなるような気持ちを抱えてまで行かなければならない場所ではない」

「魔の夏休み明け」 おそらく「魔の週末明け(月曜日の憂鬱)」の比ではない「魔の夏休み明け」が近づいています。子ども(特に小学生)にとって夏休みとは「お祭り期間(ハレ)」のようなもの。あの憂鬱な日常には戻りたくない。しかも「学校的日常」なんか…

「すべての生が無条件に承認される社会」へ向けて——「生きづらさ」についての雑記(3)

今回は「生きづらさ」と「承認」の問題を考えてみようと思います。 前半では「承認と生きづらさの関係」「承認と自尊の関係」を考えます。 後半では「ただ生きているだけで生が否定されてしまう社会構造」を批判的に問題にし、それにかわる「すべての生が無…

阿部 彩『弱者の居場所がない社会——貧困・格差と社会的包摂』/すべての人が包摂される「ユニバーサル・デザイン社会」

「社会的包摂」政策にかんする入門書 「社会的包摂」とは、(1)社会にビルトインされた「社会的排除」のメカニズムを明らかにし、(2)社会的排除のメカニズムを停止・失効させたうえで、(3)誰もが社会の中に包みこまれながら無理なく生きられる社会を…

本田由紀『軋む社会 教育・仕事・若者の現在』/「社会は、変えられる」

あらゆる媒体に寄稿された文章をまとめたもの。 その中身は教育社会学者らしいデータ重視の固めの論文から軽いタッチでドラえもん批判を展開するエッセー風のものまで幅広いスタイルで書かれている。 そのほかに阿部真大さん(『搾取される若者たち―バイク便…

本田由紀『若者の労働と生活世界——彼らはどんな現実を生きているか』/若者が直面するツライ現実

本田由紀さん編集の論文集。 編集構成は、前半では若者を取り巻く社会環境の変化についての総論的な分析がなされ、それをうけて後半では「若者と労働」、「若者の生活世界」という二つの各論分析がなされている。 … 若者が抱える苦しみや豊かさが、“われわれ…

芹沢俊介『引きこもるという情熱』『「存在論的ひきこもり」論』/「ある自己」と「する自己」

引きこもり現象を全面肯定した画期的「引きこもり」論。 引きこもるという情熱 作者: 芹沢俊介 出版社/メーカー: 雲母書房 発売日: 2002/05 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (15件) を見る

見田宗介『現代社会はどこに向かうか《生きるリアリティの崩壊と再生》/「まなざしの不在」の地獄

社会学者 見田宗介先生の講演集。 超薄い本なのですぐに読める。 現代社会はどこに向かうか《生きるリアリティの崩壊と再生》(FUKUOKA U ブックレット1) (FUKUOKA Uブックレット) 作者: 見田宗介 出版社/メーカー: 弦書房 発売日: 2012/07/17 メディア: 単行…

湯浅誠『「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ』/「生きづらさ」は社会的・構造的問題

「生きづらさ」に関する鼎談本 現場で活動している湯浅誠さんと河添誠さんが、学者や専門家の方々をゲストに迎えて現代日本の「生きづらさ」について議論している鼎談本。 「生きづらさ」の臨界―“溜め”のある社会へ 作者: 本田由紀,後藤道夫,中西新太郎,湯浅…

湯浅誠『どんとこい、貧困』/「溜め」のある社会へ

社会に「溜め」をつくるには… この本の前半部分は、貧困に対する自己責任論への反論が分かりやすく論じられている。 後半部分は、“溜め”のある社会へと移行するにはどうすればいいか、そのために活動する「活動家」(市民)とはいったいどんなものなのか、と…

大野更紗『困ってるひと』/問題は「感動か笑いか」ではなく「存在の抹消」

著者はある日、原因不明の難病におそわれる。 大学院で「ビルマ難民」の研究をし、現地(ビルマ)で活動中の頃だった…。 ([お]9-1)困ってるひと (ポプラ文庫) 作者: 大野更紗 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2012/06/20 メディア: 文庫 購入: 3人 クリッ…

「成功者たちにつけるクスリ」(ハーバート・サイモン 他)

… 自身の成功体験からほかの人々の人生を断罪するような物言いをしそうになってしまう、そんなこともあるいはあるかもしれない。もしそんなことがあれば、一息ついて思い出してほしい言葉がある。[ … ] 自己責任論に陥りそうになったら、このクスリを飲んで…

雨宮処凛『生きさせる思想―記憶の解析、生存の肯定』/単なる「労働運動」から「労働/生存運動」(生きさせる思想)へ

「生きさせる思想」とは… 雨宮処凛さんと小森陽一さんとの対談本。 前半は雨宮さんの個人史がテーマになっています(記憶の解析→雨宮さんを苦しめていた「生きづらさ」はいったい何に由来するものだったのか。 ) 自分自身を責めつづける方向(リストカット…

赤木智弘『若者を見殺しにする国』/「人が死ななくても変われる社会」はいつ来るのか

「論座」(2007年1月号)に寄稿した論文「『丸山眞男』をひっぱたきたい~31歳フリーター。希望は、戦争。」収録の文庫版。 若者を見殺しにする国 作者: 赤木智弘 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2013/09/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブロ…

『顔ニモマケズ』ーどんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語/「見た目問題」固有の困難は「障害」である

「視線のとまどい」 彼らに見つめられると、心の中に言葉にならない感情が生まれる。 まっすぐに見つめ返すと、傷つけてしまうのではないか。 かといって、急に目をそらすのも失礼だ。 視線をどこに向けたらよいのか分からない戸惑いと葛藤。 病気やケガによ…

『生を肯定する倫理へ―障害学の視点から』/「生を無条件に肯定する」思想

障害学の視点から英米圏の倫理学説(ロールズ「正義論」やシンガー「選好功利主義」など)を批判的に検討し、立岩真也や森岡正博、レヴィナスやデリダの「他者」概念などを導入しながら「生を無条件に肯定する倫理」を構想する書。 生を肯定する倫理へ―障害…

『強いられる死 自殺者三万人超の実相』/自殺者は本質的には減ることはない

強いられる死 ---自殺者三万人超の実相 (河出文庫) 作者: 斎藤貴男 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2012/10/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る

どうすれば「自己尊敬」(セルフリスペクト)できるのかー「生きづらさ」についての雑記(2)

外国の翻訳された自己啓発書などを読んでいると「自分自身を尊敬する」という言葉をよく見かけます。私はどうしてもその自己尊敬(セルフリスペクト)という感覚が分かりませんでした。他者に対して尊敬の念を抱くことはあっても、自分自身に対して尊敬の念…

雨宮処凛『小心者的幸福論』/適当にゆる~く生きよう!

小心者的幸福論 作者: 雨宮処凛 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2011/03/05 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 8回 この商品を含むブログ (4件) を見る